ロシア革命の歩き方

共産趣味インターナショナル 10
ペトログラード・ガイドブック

太田就士(著/文)
ISBN 978-4-908468-94-0
C0022 A5判 216頁
価格 3,080円 税込 (本体2,800円+税)
書店発売日 2026年2月10日

 

 

紹介

サンクトペテルブルクに遺る共産主義革命聖地を巡礼する!

★タヴリーダ宮殿 ペトログラード・ソヴィエト樹立
★冬宮殿 10月革命で臨時政府崩壊
★フィンランド駅 レーニン封印列車で凱旋帰国 
★クシェシンスカヤ邸 レーニンがバルコニーから四月テーゼを演説 
★スモーリヌイ女学院 ボリシェヴィキの革命司令部
★ネフスキー大通り デモ行進武力衝突の舞台
★巡洋艦アヴローラ  冬宮殿攻撃の合図となった空砲を放った艦
★モイカ宮殿 ラスプーチン暗殺現場
★ツァールスコエセロー ニコライ2世家族居住地
★グランドホテルヨーロッパ 外交官・諜報員の溜まり場
★「戦時下ロシア渡航方法」「革命を目撃した日本人・芦田均」等のコラム

目次

2 まえがき
3 目次
7 年表
13 人物解説

19 第1章 ツェントラリヌイ区
22 タヴリーダ宮殿
28 冬宮殿
34 スモーリヌイ女学院
40 ネフスキー大通り
46 サルティコフ宮殿(イギリス大使館)
48 リテイヌイ橋
50 宮殿広場
52 参謀本部
54 プラウダ編集局
56 グランドホテルヨーロッパ
58 中央戦時工業委員会本部
60 カザン大聖堂
62 ペトログラード市ドゥーマ
64 ゴスチヌィ・ドゥヴォール
66 アレクサンドリンスキー劇場
68 ズナーメンスカヤ広場
70 モスクワ駅
72 トロイツキー橋
73 シュパレルナヤ通り
74 マルス広場
75 プレオブラジェンスキー連隊の兵営
76 ヴォルイニ連隊兵舎
77 スヴォーロフスキー大通り
78 統計部
79 外務省庁舎
80 レストラン・メドヴェージ(熊)
81 血の上の救世主教会
82 ミハイロフスキー・マネージュ
83 アリルエフ夫妻のアパート
84 エリセーエフ百貨店
85 ゴスバンク(国立銀行)
86 アニチコフ宮殿
87 アプラクシン・ドゥヴォール
88 印刷所コペイカ
89 日本大使館
89 フランス大使館
89 ペトログラード弾薬工場
89 ボリショイ・ドーム
90 シュパレルナヤ監獄
90 臨時政府下の軍事省
90 プリシケーヴィチの屋敷
90 市立水道局
91 スモーリヌイ大聖堂
91 ウラジーミル宮殿
91 大理石宮殿
91 パヴロフスキー連隊兵舎
92 夏の庭園
92 憲兵隊の兵舎
92 リトヴァ連隊の兵舎
92 ネヴァ綿糸
93 ストロガノフ宮殿
93 ミハイロフスキー城
93 中央電話局
93 アレクサンドリンスキー劇場前広場
94 ボブリンスキー宮殿
94 シンガービル
94 司法省庁舎(シュヴァロフ宮殿)
94 エリセーエフ邸
95 ケレンスキーの家
95 ウラジーミル大聖堂
95 ボンチ=ブルエヴィチ家のアパート
95 セミョーノフスキー連隊兵営
96 サン=ガルリ工場
96 アレクサンドルネフスキー修道院
96 オブヴォードカナル
96 リテイヌイ大通り
97 エルミタージュ美術館の館内
98 ロマノフ朝を終わらせた弟、ミハイル大公の決断
99 帝政を腐敗に導いた男、ラスプーチン
100 戦時下ロシアの渡航方法

101 第2章 アドミラリティ区 ワシリエオストロフ区
104 マリインスキー宮殿
110 モイカ宮殿
112 イサアク大聖堂
114 マリインスキー劇場
116 元老院議事堂
118 海軍本部(旧海軍省)
120 陸軍省
122 センナヤ広場
124 ペトログラード帝国大学
126 宮殿橋
127 ミハイル大公の私邸
128 ニコライ宮殿
129 中央電信局
130 アストリアホテル
131 農業省
132 交通省
133 クンストカメラ
134 ニコライ橋
134 アレクサンドロフスキー・サード演壇
134 大モルスカヤ通り
134 イズヴェスチヤ編集部
135 ルミャンツェフ=コチュベイ邸
135 中央郵便局
135 国家管理省
135 ホテル「ロシア」
136 デカブリスト通り
136 レールモントフスキー大通り
136 ノーヴァヤゴランディア(新オランダ島)
136 労働者集会所
137 交通通信技術兵団研究所
137 聖ニコライ海軍大聖堂
137 ニコライ市場
137 コンスタンチン砲兵学校
138 オブホフ病院
138 ヴィチェプスク駅
138 スレードニー大通り
138 旧証券取引所
139 第一陸軍幼年学校
139 海軍兵学校
139 バルト造船所
139 連合ケーブル工場
140 臨時政府の功績
141 革命を目撃した日本人・芦田均
142 唯一無二のサンクトペテルブルク

143 第3章 ペトログラード区 ヴィボルグ区 
カリーニン区 その他
148 アレクサンドロフスキー宮殿(ツァールスコエセロー)
154 ペトロパブロフスク要塞
158 フィンランド駅
160 クシェシンスカヤ邸
162 巡洋艦アヴローラ
164 ヤーコリ広場(クロンシュタット)
167 クレストゥイ監獄
168 プチロフ工場
170 ガッチナ宮殿
172 サンプソニエフスキー大通り
173 人民の家
174 軍医大学
175 M.F. フォファノワのアパート
176 アンナ・エリザロヴァの家
177 リゴフスキー大通り
178 中央電力発電所
179 エカテリーナ宮殿
180 ニコーリスカヤ織物工場
180 ヴィボルグ紡績(ヴィボルグ紡績製紙工場)
180 新レスネル工場
180 カメンノオストロフスキー大通り
181 ネフカ工場
181 エリクソン工場
181 スリモフのアパート
181 レフ・トルストイ広場
182 第二市立(現パヴロフ)医科大学講堂
182 ノーベル機械工場
182 三人のベヌアの家
182 女子医学高専
183 アイヴァス工場
183 ランゲンジーペン社工場
183 セルゲイ・ウィッテの邸宅
183 サンプソニエフスキー橋
184 旧レスネル工場
184 シムビルスク通り(現:コムソモラ通り)
184 ニジェゴロツカヤ通りとフィンランツキー横丁の交差点
184 ミハイロフスキー砲兵学校
185 新造兵廠
185 ペトログラード金属工場
185 ローゼンクランツ工場
185 フェニックス工場
186 旧ドゥルノヴォ・ダーチャ
186 トロイツキー広場
186 ペトロフスキー橋
186 ヴルカン
187 ミリオンシコフの家
187 プチロフ協会の6番目の支部
187 港湾分署警察の兵舎
187 ナルヴァ凱旋門
188 ボリシェヴィキ第6回大会
188 旧ワルシャワ駅
188 カザーク連隊本部
188 チュシュメ協会
189 ロシアのフェミニストと女性の社会進出
194 エスエルの指導者スピリドーノワ
195 世界初の女性閣僚コロンタイ

196 Web参考文献
212 日本語参考文献
213 英語参考文献
214 ロシア語参考文献
215 あとがき

前書きなど

「ロシア」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
「寒い」「暗い」「金髪美女」―多くの日本人はこのような表面的な印象を抱いているのではないだろうか。むしろ、ロシアに関心を持つきっかけすらない、と言った方が正確かもしれない。少なくとも筆者自身の実感として、そう感じてきた。
2022年2月、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、世界の注目が集まった。以来、ロシアの印象はさらに悪化したように思う。しかし、ロシアという国は決して、一般的な日本人が抱くような単純なイメージで語り尽くせるものではない。
筆者の好きなロシアの言葉に「Умом Россию не понять(理性ではロシアを理解できない)」がある。19世紀の詩人チュッチェフの詩から生まれたこの言葉は、ロシアとは論理ではなく、感情や魂でしか理解できない国であるという精神を表している。この「理性」と「精神」の対比こそが、「ロシアは一言では理解できない」と言われるゆえんなのだろう。
ヨーロッパからアジアまで約九千キロ、十一の時間帯にまたがる広大な国土を持つロシアは、
独自の民族・言語・宗教を背景に形成された二十一の共和国をはじめ、八十三の構成主体によって成り立つ多民族国家である。そこには多様な文化・信仰・言語が共存し、複雑に交錯している。
西欧と東方のはざまで生まれたこの国は、常に二つの文化や思想の狭間で揺れ動いてきた。中世にはビザンツ帝国から正教を受け入れ、東方正教世界の一員となったが、西欧とも接点を持ち続けた。モンゴルの支配を経て独立したモスクワ公国は、東方的な統治の技術を取り入れつつ、正教信仰に基づく神聖君主制というビザンツ的な理念を受け継いだ。ロシア革命においても、西欧で生まれたマルクス主義はロシアの精神風土の中で独自の発展を遂げている。
この矛盾と多様性の共存こそがロシアの魅力であり、同時に理解の難しさでもある。
本書の舞台であるサンクトペテルブルクは、ピョートル大帝によって「ヨーロッパへの窓」として築かれた都市である。約九十の運河と八百を超える橋を持ち、「北のヴェネツィア」と称されるほど美しい。淡いパステルカラーの街並みは北欧的な優美さを漂わせ、エルミタージュ美術館やマリインスキー劇場など、芸術と歴史を兼ね備えた建築が街に息づいている。
だがこの街は、同時にロシア革命の震源地でもあった。帝政が崩壊し、世界初の社会主義国家が誕生した場所として、歴史的にも極めて重要である。人々の苦悩や激情、理想の物語が街全体に刻み込まれており、都市空間そのものが歴史的な遺産として当時の記憶を辿ることができる装置として機能している。
本書は、「芸術の都」としての美しさだけでなく、「革命の都」としてのサンクトペテルブルクを歩くためのガイドである。
ロシア革命の知識がない人にも理解しやすいよう、当時の時代背景をできる限り丁寧に描いた。断言してよいが、ロシア革命に関わる場所のみに焦点を当てて執筆された書籍は、他に存在しないだろう。
せっかく本書を手に取ってくれた読者には、ぜひ「革命の都」としての側面を感じながらサンクトペテルブルクを歩いてほしい。きっと旅はより深みを増し、記憶に残るものとなるはずだ。
もしこの本を通じて、一人でもこの街に興味を持ち、実際に訪れてくれたなら、そのときはウォッカで乾杯しよう。

著者プロフィール

太田就士(オオタ シュウジ)
1997年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。在学中にロシアの文化・歴史に魅了され、日露学生交流会への参加を契機に関連活動に注力。休学してサンクトペテルブルクへ渡航し、サンクトペテルブルク国立大学に留学する。あわせて在学中にブロックチェーン技術と出会い、ソフトウェアエンジニアとして株式会社Gincoにてデジタルアセット管理システムの開発に従事。現在は複数プロダクトのテクニカルリードとして、プロジェクトを牽引している。

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