中国珍スポ探検隊3
関上武司(著/文)
ISBN 978-4-908468-25-4
C0076 四六判 244頁
価格 2,420円 税込 (本体2,200円+税)
書店発売日 2018年7月9日
紹介
ちーがーうーだーろー!
従業員が自給自足する半廃墟遊園地
偽ピカチュウ・空母ミンスク・天安門レプリカ香港ディズニー、そして打倒ディズニー
を目指す景徳鎮コンセプト遊園地も!シリーズ第3弾は香港を含む中国南部。熱帯雨林の人口過密地域で
南国リゾート開発が進む一方で、自然破壊・景観破壊が著しい!●さらば! 航空母艦を再利用した軍事テーマパーク! ミンスク・ワールド
●中国全土を観光した気分になれるテーマパーク 錦繍中華民俗村
●ほぼ廃墟遊園地で走り回る鶏と従業員の手作りソーセージ! 珍珠楽園
●大拡張して赤字解消を狙う世界で最も狭いディズニーリゾート 香港ディズニーランド
●カウントダウンイベントに偽ピカチュウ大量発生チュウ! 南寧鳳嶺児童公園
●高層マンションが景観を破壊?南方の北京故宮博物院 同安影視城
●バーベキュー会場として繁盛する廃墟遊園地 青山湖遊楽園
●打倒ディズニーのコンセプトは特産品の景徳鎮! 南昌万達楽園
●赤鼻つきの偽物国家首脳陣がパレードに登場! 長沙世界之窓
●「オリジナルキャラ」「偽ウルトラマン大集合」「遊園地グルメ」特集コラムも!
目次
002 まえがき
003 目次
005 中国遊園地のオリジナルキャラ007 第1章 華南地方1 広東省
008 虎のマスコットキャラが歓迎! 広州代表のテーマパーク!! 長隆歓楽世界
018 世界一にこだわる広州市の新たなランドマークと蝋人形館! 広州タワー&広州名人蝋像館
024 有名な廃墟モール内遊園地の華麗なる復活劇 歓笑天地
028 さらば! 航空母艦を再利用した軍事テーマパーク! ミンスク・ワールド
038 政府要人も注目! 経済特区を代表するテーマパーク!! 深圳世界之窓
042 中国全土を観光した気分になれるテーマパーク 錦繍中華民俗村
050 孫文ゆかりの公園の小規模パクリ遊園地レポート 韶関中山公園
054 括目せよ! 中国五千年の性文化と巨大性器!! 韶関丹霞山中華性文化博物館
056 ほぼ廃墟遊園地で走り回る鶏と従業員の手作りソーセージ 珍珠楽園
068 円谷プロも全貌を把握しきれないのか?パクリの国からやってきた偽ウルトラマン大集合!!073 第2章 華南地方2 香港・マカオ
074 大拡張して赤字解消を狙う世界で最も狭いディズニーリゾート 香港ディズニーランド
086 香港の新型観覧車とイベント会場の移動遊園地 香港摩天輪
088 摩天楼直下に香港漫画のキャラクターが集結! 九龍公園
094 産業の転換を図るカジノタウンの総合リゾート施設 マカオ・フィッシャーマンズ・ワーフ
098 トランプ大統領もびっくり! 山塞アメリカ合衆国議会議事堂特集!!101 第3章 華南地方3 広西チワン族自治区・海南省
102 巨大な恐竜の化石の下を走るアンパンマン型ライド 南寧人民公園
106 カウントダウンイベントに偽ピカチュウ大量発生チュウ! 南寧鳳嶺児童公園
116 全国一流の動物園が漢方薬の熊胆粉を販売して問題化! 南寧動物園
120 南国の密林のような公園内の小規模遊園地で目撃したパクリ 南寧南湖公園
122 南の島の遊園地でもネズミ型コースター大爆走! 白沙門公園
126 知られざる中華料理も多数あり! 中国遊園地グルメ129 第4章 華南地方4 福建省・江西省・湖南省
130 高層マンションが景観を破壊? 南方の北京故宮博物院 同安影視城
134 園内でオリジナルキャラよりも目立つ熊兄弟とおっさん アモイ方特夢幻王国
142 南昌最大の公園の山塞&廃墟遊具のコラボ 南昌人民公園
146 建軍記念の公園内で『カーズ』のパクリ遊具発見! 南昌八一公園
154 バーベキュー会場として繁盛する廃墟遊園地 青山湖遊楽園
160 駐車場が圧倒的に不足している中国最大の観覧車 南昌之星遊楽園
170 打倒ディズニーのコンセプトは特産品の景徳鎮! 南昌万達楽園
198 地下宮殿で展開される中華エログロワールド! 湖南烈士公園
204 赤鼻つきの偽物国家首脳陣がパレードに登場! 長沙世界之窓222 あとがき
前書きなど
中国の遊園地を紹介する本書シリーズの第3弾は南部編ということで広東省、香港、マカオ、広西チワン族自治区、海南省、福建省、江西省、湖南省といった地域の遊園地・テーマパークの情報をお届けしたい。
2015年の統計では中国国内には914台のジェットコースターが設置されており、ランキング2位のアメリカの710台、3位の日本の213台を抜いてぶっちぎりの世界1位となっている。世界一人口が多い中国の中産階級が増加しているので、娯楽施設もそれだけ需要があるということだ。中国の技術革新も分野によっては驚嘆すべきレベルに達しており、最新技術がテーマパークのアトラクションに反映されていたりする(映像処理技術の向上、VR遊具の増加、ドローンによるショーの演出など)。
本書で紹介する「万達楽園」や「方特夢幻王国」といったチェーンの次世代テーマパークが中国各地に開園するかと思えば、「香港ディズニーランド」のようなブランドのある物件ですら岐路に立たされる例もあり、時代の流れに乗り遅れて寂れる遊園地もあるが、これも「娯楽施設の栄枯盛衰の宿命」といったところだろう。言い訳になるのだが、筆者の本業との兼ね合いもあり、本書シリーズ中部編出版から続編の執筆に予想以上の時間が必要となった。その間、筆者の考えにも多少の変化が生じた。以前は中国のテーマパークでよく見るアカの他人が乗るボートに放水する水鉄砲にツッコミを入れていたが、しかし現在では、筆者の地元の愛知県で2017年に開園した「レゴランド・ジャパン」にも同様の遊具が登場し、テーマパークに水鉄砲を設置するのは世界的な潮流なのだと捉えている。
筆者の予想通りだったのは、台湾の遊園地にも中国製の「戦火金剛」という遊具(アメリカ産ゲームキャラのパクリと考えられる)が稼働していたことだ。中国の遊具製造会社はアジア各国にも遊具を輸出しているはずだ。
なお、本書のタイトルは『中国遊園地大図鑑 南部編』となっているが、北部編の用語集で解説したように元来、遊園地とテーマパークは似ているが異なる観光施設だ。本書にはまともな遊園地だと期待して親子で訪問すると、廃棄遊具だらけで子供に悪影響を与えかねない物件もあれば、中部編と同じく未成年は入場できない博物館まで収録しているが、「インパクトを重視した結果」ということで大目に見ていただきたい。中国でも漫画・アニメ・ゲームといったコンテンツ産業が成長してきているので、山塞文化が野放図だった以前と比較して、版権保護もある程度は強化されるものと予想される。その結果、中国各地で見られる緩いパクリキャラが淘汰される可能性もあり(本書に収録した「長沙世界之窓」に再訪したところ、若干だがパクリキャラの減少が見られた)、チャンスがあるなら早めに本書を片手に中国遊園地へ訪問することを勧めたい。
本書は一般的な遊園地のガイドブックではないので、内容をよくよく吟味した上で訪問すれば、奇特な読者(ある意味、勇者)にとってプライスレスな体験(同行者にはトラウマかも?)になるだろう。それでは、遊園地の入園券を手にした気分で本書をご覧いただきたい。
著者プロフィール
関上武司 (セキガミ タケシ)
愛知県在住の技術職のサラリーマン。1977年生まれ。日本や中国のB級スポットや珍スポットを紹介する旅行ブログ・『軟体レポート』の管理人。合気道の高段者も驚く柔らかい身体の持ち主で、オーストラリアにて軟体大道芸で生活費を稼いでいた経歴あり。中国の取材は南方訛りの中国語と強行スケジュールで行っている。スマホの万歩計によると取材時は1日2万~3万歩以上は歩くので、週2~3回の筋トレが欠かせない。都築響一氏のメールマガジンROADSIDERS’ weeklyで『ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行』連載中。