電子音楽解説
オールドスクール・ハードコア・インダストリアル・メタル
梅ヶ谷雄太(著/文)
ISBN 978-4-908468-32-2
C0073 A5判 200頁
価格 2,530円 税込 (本体2,300円+税)
書店発売日 2019年3月10日
紹介
テクノ・サブジャンルで最も
自由・過激・複雑
上巻ではパンク、ハードコア・テクノ、デスメタル
等の影響を受け、シーンの土台を築いた
反逆精神溢れるオリジネーター達時に著作権を無視し、フリーダウンロードで売上を放棄。メタルやヒップホップ、
レゲエ、クラシック等あらゆるジャンルを飲み込み、掃除機の起動音をもサンプリング■Venetian Snares レゲエ、ジャズ、クラシックをも 包摂するブレイクコアの第一人者
■Rotator ブレイクコア代表するPeace Off主宰するシーン総支配人
■Christoph Fringeli 総本山的レーベルPraxisを創業 したブレイクコアの守護神
■Drumcorps 楽器を同時生演奏のパフォーマンスでワールドワイドな人気
■DJ Scud 強烈なアティテュードでブレイク コアの原型を作り上げた先覚者
■Igorrr デスメタルやバロック、オペラを も融合させるフランスの鬼才
■Bong-Ra デスメタルから乱入し、撹乱して 立ち去っていったデストロイヤー
■他Doormouse、Dev/Null、Droon、Baseck、Ladyscraper、DJ Skull Vomit、SA†AN等
●「ブレイクコア用語解説」「ブレイクコア・レーベル紹介」「ブレイクコアの起源とムーブメントまで」「メタルとブレイクコアの邂逅Metal Breakcore」「Murder Channel ライブの記録集」等のコラムも
目次
002 まえがき
005 ブレイクコア用語解説007 Chapter 1 オールドスクール
008 ブレイクコアのルーツ
012 強烈なアティテュードでブレイクコアの原型を作り上げた先覚者 DJ Scud
013 Jackal & Hide/Aphasic + DJ Scud/Scud & Nomex/Rude Boy
014 DJ Scud & Christoph Fringeli/DJ Scud / I-Sound/Bloodclaat Gangsta Youth/DJ Scud / Rich Kid / Panacea
015 DJ Scud/Bloodclaat Gangsta Youth/Iowotflaichi/Panacea / DJ Scud
016 DJ Scud/Wasteland
016 DJ Scudインタビュー
028 総本山的レーベルPraxisを創業したブレイクコアの守護神 Christoph Fringeli
029 DJ Jackal/Base Force One/Society of Unknowns/Christoph Fringeli & DJ Pure
030 Various/Crisis Theory/Base Force One/Various
031 Christoph Fringeliインタビュー
034 胎動期に先駆的手法で多大な影響をシーンに及ぼした騒音創造者 Noize Creator
035 Noize Creator/Noize Creator/X&trick vs. Noize Creator/Noize Creator
036 044 Noize Creator/The Entity
037 Alec Empire/Nasenbluten/E-De Cologne/Deadly Buda
038 Sonic Subjunkies/Christoph De Babalon/Somatic Responses/Xylocaine
039 Shizuo/Alec Empire/Christoph De Babalon/サイケアウツ
040 Bomb 20/Melt-Banana / Killout Trash/Patric Catani/Give Up
041 Kill:out Trash/V.A./Din-St/Mwarf
042 Geroyche vs. Wintermute/V.A./Bomb 20/Syndicate
043 Overcast/Sonic Subjunkies/Bogdan Raczynski/Nomex
044 Stunt Rock/16-17/Eiterherd/Abelcain
045 ブレイクコア・レーベル紹介049 Chapter 2 ハードコア&インダストリアル
050 ブレイクコアの起源とムーブメントまで
054 ブレイクコアを代表するPeace Off主宰のシーン総支配人 Rotator
055 Rotator Kids Vs. Slam/Rotator/Rotator/Rotator
056 Rotator/Mr. Kill/Rotator / Krumble / Cardopusher/Rotator
057 Rotator/Rotator / Cardopusher/Rotator Vs Mr Kill
058 Rotatorインタビュー
062 ゲームボーイすら巧みに操る高速騒音マエストロDJ Baseck
063 Baseck + Diskore/Baseck/Baseck & Sonic Death Rabbit/Baseck
064 Baseckインタビュー
070 ブレイクコアの世界観を最終確定したマッシュアップ・デザイナー Droon
071 Droon/Droon/Droon/Droon
072 Droonインタビュー
080 猥褻物を武器にスピードコアから殴り込む常識破りの異端児 Passenger of Shit
081 DJ Rainbow Ejaculation / Passenger of Shit/Passenger of Shit/Passenger of Shit/Passenger of Shit
082 Passenger of Shit/Passenger of Shit/Passenger of Shit
083 Passenger of Shitインタビュー
092 National Geographic級の視野から音源セレクトする博覧強記のDJ L?K?Oインタビュー
095 レゲエ、ジャズ、クラシックをも包摂するブレイクコアの売れっ子 Venetian Snares
096 Venetian Snares/Venetian Snares/Venetian Snares + Speedranch/Snares Man!
097 Venetian Snares/Nymphomatriarch/Venetian Snares/Venetian Snares
098 Snares/Speed Dealer Moms/Venetian Snares/Venetian Snares x Daniel Lanois
099 下劣極まりない世界観でUSシーンを牽引する音の愉快犯 Doormouse
100 Doormouse/Doormouse/V.A./Doormouse and Venetian Snares
101 Doormouse/Doormouse/Doormouse/Doormouse & Abelcain
102 耳をつんざく噪音でフロアを挑発し続ける狂気の破壊屋 Duran Duran Duran
103 Duran Duran Duran/Duran Duran Duran/Duran Duran Duran/Duran Duran Duran
104 大型フェスから小規模パーティまで盛り上げる音のジェネラリスト C64
105 Various/C64/Various/C64
106 Slam / Society Suckers/Aphasic/Nasenbluten/Epsilon
107 Ślepcy/Optic/Various/Rude Ass Tinker
108 Hecate / Eiterherd/DJ Balli & Mu B/Kovert/Parasite
109 Various/Bombardier/Various/Various
110 Various/Various/Abelcain/Ripit
111 Various/Various/Various/DJ Balli
112 TechDiff/Maladroit + Epsilon/Gromov/The Gigglin Dildas
113 DJ Balli/DJ Floorclearer/B.Slave/Charly Linch
114 Abelcain & Cdatakill/Alec Empire/Detest/Unuramenura
115 Various/Scheme Boy/Charly Linch/Grindmaster Flesh / Urban Guerrilla
116 Hecate/Dr. Bastardo/DJ Technorch Vs Unuramenura/DJIPE
117 Ambassador21/DJIPE/Ripit/DopeCoara
118 Disheveled/Various/Unuramenura119 Chapter3 メタル系
120 メタルとブレイクコアの邂逅Metal Breakcore
124 デスメタルから乱入し、撹乱して立ち去っていったデストロイヤー Bong-Ra
125 Bong-Ra/Bong-Ra/Bong-Ra/Killahman Machine
126 Bong-Ra vs. The Dirty Dred/Bong-Ra/Bong-Ra / Enduser / Shitmat/Bong-Ra
127 Servants of the Apocalyptic Goat Rave/Bong-Ra/Deathstorm/Wormskull
128 Bong-Ra/Bong-Ra vs. Igorrr/The Hard Way/Bong-Ra Vs. Gore Tech Vs. Author & Punisher
129 Voodoom/Bong-Ra/Voodoom/Servants of the Apocalyptic Goat Rave
130 Bong-Raインタビュー
136 楽器を同時生演奏の驚異的パフォーマンスでワールドワイドな人気 Drumcorps
137 Drumcorps/Drumcorps/Animosity&Drumcorps/Drumcorps
138 Aaron Spectre/Aaron Spectre/Aaron Spectre/Aaron Spectre
139 Drumcorpsインタビュー
152 デスメタルドラマーの肉体的BPM凌駕した最速プログラミング Dev/Null
153 Dev/Null vs. LFO Demon/Dev/Null/Dev/Null/Dev/Null
154 Dev/Nullインタビュー
164 グラインドコア&デスステップの過激な要素でフロアを揺らす DJ Skull Vomit
165 DJ Skull Vomit Vs. Singaya/DJ Skull Vomit/DJ Skull Vomit/DJ Skull Vomit
166 DJ Skull Vomit/DJ Skull Vomit/Various/Eustachian/Vytear
167 Eustachian & The Teknoist/Eustachian & The Teknoist/Eustachian/Eustachian
168 DJ Skull Vomitインタビュー
174 メタル音源を強烈ガバキックとアーメンブレイクでスピードコア化 Ladyscraper
175 Ladyscraper/Ladyscraper/Ladyscraper/Ladyscraper
176 Shitwife/Shitwife/Petbrick
177 Ladyscraperインタビュー
180 デスメタルやバロック、オペラをも融合させるフランスの鬼才 Igorrr
181 Igorrr/Igorrr/Igorrr/Igorrr & Ruby My Dear
182 Igorrr/Whourkr/Whourkr/Whourkr
183 ロシアの北の都でメタル・ブレイクコアを開拓した悪霊 SA†AN
184 SA†AN/SA†AN/SA†AN/Raxyor Vs SA†AN
185 Noize Punishment/Curse of the Golden Vampire/LFO Demon/Noize Punishment
186 Player/Noize Punishment/Agoraphobic Nosebleed/Big Joan
187 Übergang/Noize Punishment/Robot Ninja Dinosaur Bastards/Realicide
188 Mulk/Airborne Drumz/Amphetamine Virus/Electric Pigs
189 Maruosa/Bombardier/deathcount/Divtech
190 Burning Cyborg/Mulk/Abelcain & Alexandra von Bolz’n/Ulcerium
191 Speak Onion/Apzolut Feat. MC Goatzak/You Will Choose Fire/Mulk / Pressterror
192 Murder Channel ライブの記録集
198 Murder Channelの歴史199 あとがき
前書きなど
本書は、日本で最初に正式出版される「ブレイクコア」に関する本である。
ブレイクコアとは90年代中頃から後半にかけてイギリス、アメリカ、ドイツ、オランダ、フランスなどで同時多発的に生まれた音楽ジャンルの一つであり、様々な音楽的手法やバックグラウンド、思想をハードコアなダンスミュージックにねじ込ませたハイブリッドな電子音楽のスタイルである。
ブレイクコアは日本国内においても、ハードコア・テクノ、ドラムンベース、ベースミュージックなどのダンスミュージックのリスナーや、IDM、エレクトロニカなどの実験的な電子音楽シーンのリスナー、そして、メタル、グラインドコア、ノイズなどのエクストリーム系ミュージックのリスナーからも支持されており、決して一般向けの音楽ではないが長年に渡って陰ながら日本の音楽シーンに影響を与えている。
日本にブレイクコアを輸入し根付かせた重要なレコードショップであり、レーベルでもあるElectro Violence(旧Minor’s Holiday/Breakcore Records)の存在は大きく、国内のブレイクコア・シーンだけではなく、海外のブレイクコア・シーンでもElectro Violenceの影響力は凄まじかった。同じく、東京にあったレコードショップBuy or Dieとwarszawaも積極的にブレイクコアのレコードを取り扱っており、90年代後半から2000年初頭には日本にもコアなブレイクコア・ファンが存在していた。その後もアンダーグラウンドな電子音楽シーンを中心にブレイクコアは人気を得ていき、ブレイクコアの黄金期とされる2000年代中頃には、Disk Union、Jetset Records、Cisco、Guhroovyといったレコードショップから、Tower Records、HMVなどの大手レコードショップでもブレイクコアのレコードやCDがプッシュされるまでになった。そして、ブレイクコアを専門的に扱うブログも登場し、音楽系ウェブマガジンにてブレイクコアの特集が組まれたり、海外アーティストも頻繁に来日するようになり、ブレイクコアは日本の音楽シーンに根付いた状態となった。
だが、ブレイクコアの歴史や情報をまとめる様な記事や資料集などは、日本においてはほとんど存在していなかった(ブレイクコアの性質上、存在しないのも仕方がないのだが)。
自分はブレイクコアと出会って20年程経ったが、まさか日本で最初となるブレイクコアの書籍を執筆する事になるとは夢にも思わなかった。ブレイクコアが誕生してから現在までに、海外ではブレイクコアを専門的に扱うフリーペーパーとZineは多数存在したが、書籍となると、スペインのBelio Magazineが2008年に出版した『Pencilbreak』というアートブックぐらいだろうか。これは、ブレイクコアのレコードやフライヤーなどを集めたアートブックであり、Droon、Dzgnbio、FFF、Inkcore、Nikibi、Pastee、Raoul Sinier、Sekitaniといったデザイナー達の作品を中心にした内容であった。
国内におけるブレイクコアに関する書籍や情報をアーカイブしたサイトなども無いので、お手本や模範とする様な素材が無く、自分がブレイクコア・シーンに関わって得た経験と知識だけを元に本書は作られている。
この上巻では、ブレイクコアが誕生するまでのルーツとなったハードコア・テクノやデジタルハードコアの作品から、ブレイクコアを形成したオリジネーター達へのインタビュー、そして、メタル/パンクを素材にしたエクストリームなブレイクコアの作品をまとめており、いかにブレイクコアがハードコア・テクノやメタル、パンクといったジャンルと親和性が高いかを検証してみた。
上巻はブレイクコアの反逆精神や攻撃性を主軸にした90年代のアンダーグラウンド・ミュージックの息吹も感じられるはずだ。特に、初期ブレイクコアが持っていたエネルギーや姿勢の部分にはハードコア・パンク、デスメタル、グラインドコアといったエクストリーム・ミュージックともシンクロしているので、それらのリスナーの方にもブレイクコアはおススメしたい。
続く下巻では、ブレイクコアの第二世代とされるアーティスト達の作品や2000年代に生まれた新たなブレイクコアのサブジャンルであるレイブコアやラガコアなどをまとめており、上巻と下巻の2冊でブレイクコアの歴史を出来る範囲でアーカイブ化している。
著者プロフィール
梅ヶ谷雄太 (ウメガタニ ユウタ)
1985年生まれ、東京都出身。2002年頃から都内でDJを始め、2004年に自身主宰イベント「Murder Channel」をスタート。恵比寿Milk や中野heavysick ZERO、吉祥寺Star Pine’s Cafe、渋谷Lounge Neo、難波Rockets、名古屋Cafe Domina、金沢Manier 等、様々なクラブで回を重ね、2017 年にはブリストル(UK) のThe Black Swan にてMurder Channel のイベントも開催。2005 年から海外アーティストも積極的にブッキングし、多くのアーティストの初来日を成功させた。
2007 年からはMurder Channelをレーベルとしてスタートさせ、現在までに40タイトル以上の作品を発表。PS3 のゲームソフト『Savage Moon』のサウンド・トラックのリミックス・コンピレーションや、日本の漫画『ドロへドロ』のオフィシャル・サウンドトラックの監修も務める。
その他にも、極端な音楽をメインに紹介するGHz Blogにて不定期にインタビューや特集記事を公開中。