チェコじゃないスロヴァキア

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ニッチジャーニー Vol.3
中欧の中央

増根正悟(著/文)
ISBN 978-4-908468-74-2
C0026 A5判 224頁
価格 3,080円 税込 (本体2,800円+税)
書店発売日 2022年6月10日

 

 

紹介

兄弟民族とは仲良くやってる!
でも知名度が低くて辛い…
スロヴェニアでもハンガリーでもない! 
間違えられやすい国の特徴と魅力が一発で分かる!

チェコには負けていられないスロヴァキアの
サッカー・アイスホッケー・アニメ・映画・酒・食器・フィルハーモニー・可愛いらしい街を紹介!

●スロヴァキア発祥チムニーパン、「トルジェルニーク」
●スロヴァキアにもあるトカイワイン
●人口あたり車生産数と城の数が世界一
●ブラチスラヴァはプラハよりウィーンとブダペストに近い
●ナチス「保護領」だったチェコと「保護国」だったスロヴァキア
●「プラハの春」を牽引したスロヴァキアのドゥプチェク
●スロヴァキア学生デモで始まったビロード革命
●ハンガリー王国の事実上の首都だったブラチスラヴァ
●代表的オペラ・ジャズ・メタル・ヒップホップ紹介
●22人中17人がスロヴァキア人選手だった1970年ワールドカップ

目次

2 まえがき
3 基本情報
4 目次
6 地図

8……第1章 スロヴァキアとチェコの比較
8 首都 ブラチスラヴァvs.プラハ
26 国旗 スラヴ民族三色旗と3つの山脈
28 国歌 長調で牧歌的なのに対して短調で民族覚醒的
30 言語 西スラヴ語群に属しアクセントの位置も同じ
32 少数民族 チェコ人とスロヴァキア人以外の民族
36 宗教 無信仰とカトリック
39 経済関係 スーパーマーケットの商品はほぼ同じ
40 祝日比較 スロヴァキア民族蜂起記念日と「脱チェコ化」

44……第2章 経済と科学
45 自動車産業 人口あたりの生産台数は世界一
46 スロヴァキアのアジア企業 60社以上の日系企業が進出
47 天才科学者 自然科学への偉大な貢献
52 製品 世界に通用するMade in Slovakia
58 ノーベルとアポロ 工業化を支えた化学工場
60 ヨーロッパ王室を輝かしたスロヴァキア・オパール
61 国防産業 社会主義時代からの伝統

62……第3章 観光
62 知られざる観光地 タトラ山脈と洞窟
64 温泉 上流階級向け保養地から一般市民向け湯治場へ
66 城 人口あたりの数で世界一
70 素朴な風景 世界遺産に登録されている木造教会
72 穴場スポット バズる可能性を秘めた隠れた観光地
74 共産主義建築 ノスタルジックな社会主義時代の名残
78 ブラチスラヴァを拠点に中欧周遊旅行
81 スロヴァキアのプラハ

82……第4章 歴史
82 古代ローマ時代から独立後の歩みまで
125 ハンガリー貴族 実はスロヴァキアを拠点に活動していた
132 悲劇の王女シュチェファーニア
134 偉人 スロヴァキア人によるアンケートで選ばれたトップ20

136……第5章 対外関係
136 スロヴァキアの外のスロヴァキア人
143 ユニークな国境ポイント 運河・自転車・台車交換
146 オーストリア 最も身近な外国と原発問題
148 オーストリアの中の「スロヴァキア人村」
149 スロヴァーツコ チェコの中のスロヴァキア?
150 ハンガリー 「上部ハンガリー」と脱ハンガリー化
152 ポーランド 山を挟んだ関係と国境地帯のゴラル人
153 ヴィシェグラード4カ国(V4)中欧4か国の地域協力
154 ザカルッパチャ 幻の戦間期チェコスロヴァキア領
156 ウクライナ 東の大きな隣国
157 日本とスロヴァキアの関係史 最初の接点は江戸時代
158 スロヴェニアじゃないスロヴァキア 混同されやすい国
160 実はスロヴァキア系の有名アメリカ人 75万人も

162……第6章 食文化と酒文化
162 グルメ情報 レストランの定番メニューなど
170 地名という名のスパイス 異国情緒と食欲を掻き立てる
171 おすすめレストラン ブラチスラヴァと地方の名店
172 ビール 世界で2番目にビールが旨い国?
175 ワイン 日本でも飲めるようになったリーズナブルで高品質な逸品
180 その他のお酒 酒の多種多様性はどこの国にも負けない
182 食品と飲料 時代を超えて愛されるヒット商品

186……第7章 文化
186 建築家 フジェツとユルコヴィチ
189 絵画 素朴な風景を愛した画家
190 フォークロア 民謡・民俗舞踊・風習
192 クラシック音楽 音楽の都ウィーンに近く、地味だが盛ん
196 ポップ歌手 チェコスロヴァキア時代の曲も人気
198 ロック・パンク・メタル 体制転換後も活躍する音楽バンド
200 ヒップホップ、ジャズ 多くの人材を輩出
201 オペラ歌手 日本でも知られている歌手たち
202 文学 スロヴァキア文章語の普及を支える
203 絵本 世界最大級の絵本原画展を開催
204 映画 佳作を撮り続ける小国の底力
206 アニメ ヤーノシークや羊飼いが主人公

208……第8章 スポーツ
208 サッカー なぜかチェコだけが脚光を浴びる
214 テニス 数々の名選手を輩出
216 アイスホッケー 人気ナンバーワン・スポーツ
218 オリンピック選手 世界に名を馳せたアスリートたち
220 ヨーロッパ最古のマラソン大会 コシツェ・マラソン
221 フィギュアスケート 五輪でメダルを獲得した伝説的選手

222 参考文献・読書案内
223 あとがき

前書きなど

ドブリー・ジェニュDobrý deň(スロヴァキア語でこんにちは)!
本書で紹介するのは、ヨーロッパの中心に位置するスロヴァキアという国だ。チェコではない。筆者がスロヴァキアに興味を持ち始めてから、「スロヴァキアはチェコと何が違うのか?」とか、「スロヴァキア? ああ、チェコスロヴァキアね~」と言われることが何度もあった。それもそのはず、チェコとスロヴァキアという国は、つい最近まで(と言いつつ、もう30年以上も前のことだが)存在せず、チェコスロヴァキアという国名で記憶されている方が今でも多いようである。チェコとスロヴァキアは、いつもセットで出てくるというわけだ。
チェコという国は日本で非常によく知られている。百塔の都プラハ、世界で最も美しい町と称されるチェスキー・クルムロフ、ロボットという造語の生みの親であるカレル・チャペック、アール・ヌーヴォーの寵児アルフォンス・ムハ(ミュシャ)、1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得したヴェラ・チャースラフスカー、日本でも生ビールが飲めるようになったピルスナー・ウルケルは、ご存じの方も多いのではないだろうか。最近では2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でのチェコ人野球選手の大健闘も話題となった。また、東京外国語大学では、チェコ語を専攻言語として学ぶことができる。チェコ外務省の外郭団体であるチェコセンター東京は、日本におけるチェコ文化の発信地となっている。
一方で、スロヴァキアはどんな国?と聞かれると、「・・・」。何も思いつかない、という方がほとんどかもしれない。何を隠そう、筆者もかつてはそうであった。しかし、スロヴァキアにも、知られていないけど特筆に値することや、これまでに知られていなかった魅力が、たくさんあるはず。その思いから、こののプロジェクトが始動した。
例えば、スロヴァキアの産業。日本では、チェコは工業国で、スロヴァキアは農業国である、というイメージが強いようである。しかし、スロヴァキアの基幹産業は自動車製造であり、人口一人当たりの自動車生産台数は毎年世界一になっている。また、チェコでは古城が有名であるが、スロヴァキアで現存している城や城館(シャトー)の数は、廃墟になってしまったものも含めると580を超えており、人口一人あたりの城の数も世界で一番多いと言われている。歴史に目を向けてみると、1968年の「プラハの春」として知られるチェコスロヴァキアの改革運動を率いたのはスロヴァキア人のドゥプチェクであった。そのドゥプチェクの後任で、改革路線を撤廃して「正常化体制」を確立したフサークもスロヴァキア人であった。チェコスロヴァキアの歴史におけるスロヴァキア人のプレゼンスは、決して低いわけではなかった。
言うまでもないことだが、本書は、チェコばかりが目立っていることに対して不満を述べるものではなく、ましては、チェコよりもスロヴァキアの方が実は優れていると主張したいわけでもない。筆者にとって、チェコはスロヴァキアと同じぐらい大好きな国であり、通算7年間スロヴァキアに住んでいる間に、30回以上はチェコに遊びに行った。スロヴァキア人だけでなくチェコ人の友達にも恵まれ、本書を執筆する際に多数の有益なアドバイスをもらうことができた。
本書の目的は、チェコという「大樹」に隠れてしまっているスロヴァキアにも光を当てて、その魅力や面白さを存分に解き明かそうというものである。日本では(そして日本以外の国でも)チェコの情報はたくさん入ってくるが、スロヴァキアの情報はまだまだ限られているのが現状だ。「チェコじゃないスロヴァキア」はどういう国なのか? 知られざるスロヴァキアを探る旅に出かけよう。

著者プロフィール

増根 正悟(マシネ ショウゴ)
1990年生まれ。早稲田大学大学院教育学研究科社会科教育専攻修了。駐日スロヴァキア大使館勤務。日本スロバキア協会スロバキア語講師。2014~2015年にコメンスキー大学自然科学部地域地理・地域発展学科に留学。2016~2022年に在スロバキア日本国大使館専門調査員。主な業績に、長與進・神原ゆうこ編『スロヴァキアを知るための64章』明石書店、2023年(3つの章と1つのコラムを担当)。

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