鬼畜米英漫画全集

風刺画で知る世界 Vol.1
戦時下の反アメリカ・イギリス的表象

髙井ホアン(著/文)
ISBN 978-4-908468-71-1
C0021 A5判 480頁
価格 2,900円 税込 (本体3,190円+税)
書店発売日 2024年2月15日

 

 

紹介

憧れていたのに急に悪魔化
無理と矛盾が発生し、一周回って笑える!

プロパガンダ大国日本が描いた虚勢・痩せ我慢・負け惜しみ

460枚以上収録、解説

・鬼畜米英漫画掲載誌リスト
・鬼畜米英漫画家人名辞典
・鬼畜米英新聞記事
・鬼畜米英アニメ
・鬼畜米英歌謡
等のコラム

目次

2 まえがき
4 目次

9 第1章 戦前 鬼畜の萌芽
10/サタンの見送り 11/最後の曲芸・姐御のあとをして 12/メリケンショウ 14/チャーチルと腫物 15/(※無題) 16/泥縄式救助法 17/嵐の前夜/九国条約 18/コラム
戦前漫画史 「ポンチ絵」から「漫画」への80年 32/パネー号事件 33/排日移民法 34/ハリマン事件/踊る怪物 35/否定された人種の平等/楽屋裏では? 36/暗黒街の顔役 37/シッポの生えた大使 38/当時の記事 菊池寛「雑誌と文化」 42/満洲事変の妨害 43/お得意の九ヶ国条約/おどるカイライ 44/第二次ロンドン会議/対日海軍拡張 45/太平洋に足を広げる大章魚/馬鹿の一ツ覚え 46/第三国旗の下に 47/ブラツセル会議 48/当時の記事 岡本一平「日本の漫画に就て」 50/極東米人引揚げ 51/効きめのないルーズベルトの錘 52/飛んだ閑談 53/仮面を脱ぐ 54/蘭印抱込み 55/馬乗り替えて 56/コラム 戦前日米関係史 交流と摩擦の太平洋 66/持てる者の悩み/宗教侵略 67/自由主義者の輸入品 68/セルロイドの蛇 69/文化侵略 70/自由の女神の蔭では…… 71/寄合世帯の悩み/われらの海、太平洋を守れ! 72/二十世紀のドン・キホーテ/好きなアメリカ 73/コラム 「鬼畜米英」の肖像 西洋との出会いからプロパガンダまで 82/おお精鋭なる諸君よ 83/地球を追馳ける男 84/大西洋でとれた珍品/あめりかのお化粧 85/他力進軍像 86/行手を阻む怪物 87/ユダヤの一人芝居/曲技 88/吠える犬は? 89/自由と専制 90/当時の記事 海軍大佐平出英夫「波さわぐ太平洋」

95 第2章 開戦初期 鬼畜と驕り
96/あゝアメリカ無敵艦隊/合言葉、米・英 97/土曜、日曜あらばこそ/米英二首魁へお年玉に火の玉だ 98/腰ぬかし初め/正体を現はしたユダヤ人 99/タイ料理 100/ルーズベルト大統領(※表紙) 101/嘆きの自由の女神 102/国威宣揚戦勝新年 八紘照破 103/首尾よく乗ればおあとが不首尾だ/AB行状記 104/飲めない男と飲ませ上手 105/AB行状記 106/ひびの入った米英陣 107/その後に来るもの/持たざる国アメリカ 108/当時の記事 鶴見祐輔「アメリカの国情と国民性」 113/なげきのポパイ 114/外電によれば 115/今浦島 116/ハワイ沖の同志うち 117/大捷ラジオ 118/水族館の呼物/海の玄関飾り 119/ルーズヴェルト・天下の秋を知る/アメリカ式ABC(ルビ:アルファベット) 120/米の戦果製造法/加州海岸の新商売 121/罷業王国アメリカ/最後まで彼女と共に 122/転向 123/恨みは骨髄/俄然、大繁昌 124/当時の記事 野口雨情「大東亜戦争」 125/犬と犬/ゴムの杜絶 126/消え失せろ! 127/ホノルルの米警備兵 128/弓道上達法 129/子供の見立て 130/マニラ麻(比島年産二十万瓲)/正義の一撃! 131/(表紙) 132/インドよ今こそ起ち上がる時だ!! 133/大東亜戦争 134/必勝の信念で/勝って兜の緒をしめよ! 135/一億の巨弾 136/鉄石の団結 137/大東亜の敵 138/ニューヨーク狂騒曲 139/彼等の奥の手 140/大東亜戦争戦果図 142/当時の記事 世界人物回覧板一九四二年版 144/遂に侵略列車進まず 米英罪悪史 146/自分の足で/宣伝戦にも勝者たれ! 147/米英首相会談/ロンドンへ放送 148/ハワイ島参謀室/米州沿岸の恐慌 149/BARBER(理髪店)の敵性抹殺/米国修正大建艦下の造船所 150/娘でかした 151/米デマ製造省新設 152/英兵陣地の読書熱/空襲に脅ゆるワシントン 153/ハワイ新風景/専門家なれば 154/コラム 鬼畜米英アニメの世界 ポパイもベティも敵だった 160/米恐怖艦隊 161/新型のヒント/米写真班の苦心 162/献納画(日本艦隊撃滅) 163/武士の情/シ港捕虜の言 164/シンガポール最後の日 166/当時の記事 会田光義「混血児物語」

171 第3章 開戦中期 鬼畜と暗雲
172/必勝の鍵 173/必勝の鍵 174/必勝の鍵 175/必勝の鍵/必勝の鍵 176/必勝の鍵/迷作戦 177/英銀輪部隊/うわーッ こんどはおいらの番だ! 178/腹話術師の悲鳴/この調子 179/本国没落/米海軍魂 180/当時の記事 高田真治「挺身邁往の秋」 182/大東亜戦争第一次戦勝見取図 184/万事賭け事/強制徴兵 185/よくよくの宣伝/飛行機不足 186/流石は羊毛国豪州兵/不要の鉄 187/敵機来の妄想に怯えるアメリカ 188/快速進撃/ギャング部隊 189/新要塞工事 190/敗戦のアメリカを救ふものは/山嵐の飼育熱 191/持たぬ国の悲哀 192/それッ日本機だ! 193/金権主義の末路 194/ハリウッドの憂鬱/サール(※鎮痛薬の広告) 195/擬装一点ばり時代 196/(無題) 197/(無題) 198/ガンジー 199/当時の記事 今村つとむ「米英戦時経済の弱点」 202/おお我等の太平洋よ! 203/米英愁嘆の真相 204/まだ足りない まだ足りない 205/(無題) 206/大戦果発表 207/俘虜の入墨 208/踏まれたり蹴られたり、弱り目祟り目 210/「座禅による」日本精神研究の集ひ 211/米国/のけもの 212/酔ふな緒戦に 213/礼儀正しきロンドンの紳士淑女/絹不足深刻 214/轟先生 216/当時の記事 池義助「捕虜の話」 222/大東亜戦争は斯くして起った 226/ウィルソン天文台の賑ひ/ヤンキー娘の思ひやり 227/米国士官教育/残存戦艦 228/アメリカの攻勢/連合軍作戦本部 229/当時の記事 安本亮一「国際瘋癲病院訪問記」 234/デマニュース製作所/五百年後の旅行者 235/荒天飛行/米新鋭艦載機 236/お手並みの程を 237/戦果報告/米国のゴム騒ぎ 238/海上戦線異状あり/米要塞新防備 239/米国建艦審議会 240/もう遅い 241/新ゲリラ戦術 242/コラム 鬼畜米英歌謡 末期症状の歌謡たち 252/空襲恐怖症 253/光栄の身代り/兵隊不足深刻 254/米英頭方追放 255/不安解消/米の囚人気質 256/遁げまわる包囲陣のインチキ大将共よ あわててセント・ヘレナ島に乗りあげまいぞ 257/いつまで笛吹き切れる 258/世界の雑音 米国の巻:季節はづれのサンタクロース 259/世界の雑音 和蘭の巻:ロビンソン・クルーソーの哀愁 260/紙上対面 261/兵器廠の憂鬱/女中の苦悶 262/当時の記事 米英撃滅の聖旗は進む! 265/恐日病募れば 266/必走の備へ/傍観主義 267/守れ、大空 268/神兵の逆襲 269/食糧不足の米軍/苦心の敗走 270/標的かはり/砂糖欠乏 271/悪性インフレ/油槽船撃沈頻々 272/緊急閣議の時間 273/当時の記事 荒城季夫「宣伝戦と漫画」 277/アメリカの憂鬱 278/米落下傘製作所/ルーズヴェルトの外出 279/大東亜の小鳥/猛練習 280/アジアの章魚/悪趣味 281/米英第三次穴倉会談 282/ルーズヴェルト渡英の図/怨蒋ルート 283/コラム 鬼畜米英の由来 標語と踊るメディア 286/当時の記事 三月十日陸軍記念日 撃ちてし止まむ 街頭展示宣伝を観る 288/万策尽きた米参謀本部 289/ニューヨークの恐怖 291/リレー漫画 銃後の米英色完滅 292/米艦撃沈騒ぎ/ヤンキー好み 293/新輪形陣/盲爆 294/猛訓練の米軍/アメリカの空瓶回収 295/艦隊入港/新軍需品現る 296/神経過敏の米本土 297/ヤンキー娘子軍登場 298/ルーズヴェルト夫人 299/日本兵米本土上陸 300/アメリカの戦況発表 301/日米忍術合戦 302/アメリカの軍隊/アメリカの夏 303/(敗戦に喘ぐもの ※個別題名無し) 304/押へ込み長期戦/どうだねホーレン草は種切れかね 305/男々しくと女々しく/少年空の夢 無色透明な飛行機で 306/アラスカの恐怖/自由主義の罪 307/俘虜運動会 308/百年戦争この意気で 309/鬼畜米英漫画掲載誌リスト 戦時下でも出版の火は絶えなかった

311 第4章 戦争後期 鬼畜の反抗
312/米英降伏の日 女神のお化粧 313/米英降伏の日 その日の英国/米英降伏の日 英国降伏の瞬間 314/降伏の報と共に/トルコ抱込み 315/手も足も出ないくせに…… 316/ルーズベルト「鬼はワシ、鬼はワシ!」 317/北阿の政情混沌 318/反撃の敵は徹底激砕 319/迷利犬の野望 320/撃ちてし止まむ集/不自由なアメリカ 321/リンカーン記念日の嘘八百放送/ヌリエ 322/ヌリエ/独潜水艦の活躍 323/こんがらかった風船玉二つ 324/同床異夢 325/頬被り大統領 326/なにがなんでも勝ちぬくぞ。貯めぬくぞ。 327/アラカンの悲劇 328/米英の拮抗 329/足許より崩るるルーズベルト政権 330/武力抗争に枢軸の助太刀/ローマよりの爆弾破片 331/科学戦士ニューヨークに出現す 332/当時の記事 小此木禮助「アメリカの癌 黒人問題の台頭」 337/「不動」の信念でインド完全独立へ 338/米国の戦争目的不明瞭 339/ビルマ独立/地底の決戦場 340/反枢軸軍、マウントバッテンの新任命に早速椅子争ひのゴタゴタ 341/米国の戦争ゴッコ/米英謀略の魔手第二のバドリオ探見に 342/怪談白亜館 343/鬼畜の内輪話 344/当時の記事 「大東亜十億の結集成れば」 346/彼等の非望 347/アメリカの場合 ―狩り出される黒鷲― 348/急げ一億戦闘配置 床屋もコックも総蹶起だ 349/靴の返報 350/強兵訓練 351/龍宮蹶起 352/くぢかれた出鼻 353/屠れ米英の悪鬼ども 354/当時の記事 第5次元の探求

357 第5章 戦争末期 鬼畜を殺せ!
358/飛んで火に入る 359/ルーズベルト(※表紙) 360/恨みは果なし人的資源 361/弗牛アメリカ 362/物量に頼む 363/アホーよ、馬鹿よバドリオよ 364/第二の海軍記念日 365/フイリッピンの独立を盗んだ米鬼 366/基督も怒る 367/大東亜共栄圏 368/当時の記事 撃て!この鬼畜! 敵米国の暴虐を直視せよ 376/ワシントンの戦利品 377/舐めきった舌 高慢ちきな鼻 378/異民族の犠牲に於て 379/だんだん裸にされる彼奴 380/夢と現実 381/白昼夢 382/俘虜の像 383/対日反抗をつくる必死のアメリカ 384/新紅葉狩 385/敵の本態悪鬼 386/この手で世界を侵したのだ/国家と国民を売るもの 387/米国の厖大軍事予算 388/当時の記事 日本兵の頭蓋骨 389/ビルマ反抗 390/もう歯が立たぬ手も足も出ない米英/重慶空襲 391/白亜館に送る 392/太平洋第一主義/無頼漢 393/当時の記事 「敵米鬼音楽の正体」 403/米英撃滅貯金 404/生産腕くらべ/(※無題) 405/(※無題) 406/迷利犬労働者気質(その一) 407/迷利犬労働者気質(その二) 408/当時の記事 あらえびす「敵米英の音盤」 412/銃後の突撃隊/(※無題) 413/(※無題)/野蛮人の飛行機ぐらいなんでェ 414/雨季来たる印緬国境! 415/独の新兵器 416/当時の記事 「これが敵だ!野獣民族アメリカ」 432/連れそふて十年 433/忘れるな!君の父の骨だ 434/毒饅頭 435/滑り過ぎたる冥選手 436/ノビるアメリカ 伸びゆく日本 437/早い手まはし/地上掃射異聞 438/連載漫画 挺身娘5(鶯の巻) 439/丸める筈が/新南京豆大統領の特攻対策 440/昆虫の白昼夢 441/当時の記事 敵アメリカはかう言っているぞ!

445 鬼畜米英漫画家人名辞典
453 鬼畜米英漫画年表
465 日米英関係史年表
476 あとがき
478 参考文献

前書きなど

〈過剰権利主張ケーススタディーズ〉の第一作として上梓した『エセ著作権事件簿』は、おかげさまで望外な反響をいただくことができた。「著作権は大切」という常識やコンプライアンス意識を逆手に取った過剰要求や逆恨み、それらがもたらした騒動の数々は、たとえ「権利」であっても、ひとたび振りかざし方や受け止め方を間違えれば、社会に不利益を与え、秩序を乱すことを教えてくれた。
さて、今回のテーマは商標―すなわち言葉、名前、マークなどの独占所有に執着した人々が引き起こした事件簿である。
言葉や名前それそのものは誰も独占することができない。「おはよう」という言葉が誰かに独占されれば挨拶もできない。「商標」という言葉が独占されれば商標権の解説もできない。「鈴木一朗」という名前が独占されれば、鈴木家に長男が生まれても「一朗」と名付けることができなくなる。そんな社会は誰も望まない。
一方、商取引の場面における、商品名やブランド名は別である。取引上の信頼が宿った商品名を、他人が類似商品につけ放題だとすれば、元の商品は売れなくなり、商品名に宿った信頼も裏切られる。それが常態化すれば商秩序が乱れ、産業の発展が成り立たない。実際、商標制度が存在せず、評判の銘柄を合法に無断使用できた江戸時代には、当時の主要産業だった酒や醤油、薬などの業界が、常に模倣品やコピー商品に悩まされてきた。
明治時代に成立した商標登録制度は、こうした商秩序を乱す紛らわしい類似品の規制を念頭に、商品名などについて、一定の条件下で、一定の範囲内に限り、例外的に言葉などの独占を認める法制度である。
一方で、商標制度に対する無知、無理解や思い込み、あるいは単なる強欲から、商標登録されていることをいいことに、言葉や名前、単なる模様やデザインの独占を、法律が認める範囲を大幅に逸脱して過剰主張し、社会に迷惑をかける「エセ商標権者」も少なくない。むしろ、露骨な模倣品がほとんど日陰に追いやられている今日の成熟した日本社会においては、エセ商標権を振りかざす輩の方が多いのではないか、という気さえする。

本書は、そんなエセ商標権者たちが巻き起こした事件、裁判例の数々を取り上げ、その盛大なカン違いや独占欲の発露がどのような結末に至ったかを解説、検証、分析した本である。
中小企業にムチャクチャな異議申立や警告書を送りつけ、泣き寝入りさせること目論む一流企業、一般名称や流行語を商標登録してメディアや個人に使用料を要求し総スカンを喰らう個人、古来ある伝統模様や単なる色彩を独占しようと中小企業をいじめるラグジュアリーブランド、不正な登録商標をネタに大企業にユスリタカリを行う自称超能力者、脱退した元メンバーがバンド名を名乗ることを絶対に許せないバンドマン……。ことごとく敗訴している彼らを駆り立てる独占欲とはいったい何なのか。そして彼らの主張は、どのようにして突き崩されていったのか。ぜひ、本文を読んで味わってほしい。
本来誰もが自由に使えるはずの言葉などを特定人や一企業が不当独占しようと目論むエセ商標権の問題は、社会全体の不利益に直結し得る。いつ誰が「言葉狩り」の被害にあるか分からない。誰もが当事者になる可能性があるのだ。
大企業の行き過ぎたブランド保護から、一般名称を独占しようとした個人の暴走まで、エセ商標権者の巻き起こした大騒動の数々を、ここにつまびらかにしよう。

著者プロフィール

髙井ホア(タカイ ホアン)
1994年生まれ。作家・ライター。日本人とパラグアイ人の混血(ハーフ)。埼玉学園大学卒(カリブ史を研究)。高校時代より反権力・反表現規制活動を行う中、その過程で戦前の庶民の不敬・反戦言動について知り、そのパワフルさと奥深さに痺れて収集と情報発信を開始。2013年よりTwitter上で「戦前の不敬・反戦発言Bot」「神軍平等兵 奥崎謙三Bot」などを運営中。2019年5月に『戦前不敬発言大全』『戦前反戦発言大全』(パブリブ)を出版。『現代ビジネス』『情況』など各種メディアで執筆活動を行うほか、各地でイベントやライブなどにも出演しており、反社会的アーカイバーも名乗る。趣味は読書と無計画な旅行。今後も多くの記録を掘り起こしながら、「時局」の向こうに消えていった人々の姿を掘り起こしたい。

書籍

書籍

PAGETOP
Copyright © 合同会社パブリブ All Rights Reserved.