世界過激音楽 28
日本発・視覚系ロックのグローバル文化史
水科哲哉(著/文)
ISBN 978-4-908468-95-7
C0073 A5判 176頁
価格 2,750円 税込 (本体2,500円+税)
書店発売日 2026年3月10日
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紹介
「Visual Kei」は、もはや日本語ではない。
海外で独自進化、逆輸入ブーム、クールジャパンとの禁断の化学反応!
ヨーロッパ、アジア、南米まで「え、そこにもヴィジュアル系が!?」という驚きが満載!
30の国と地域から157バンド紹介!!■BatAAr 「Art Metal」を標榜し、バンダイナムコの 「鉄拳7」とコラボ
■Seremedy 実働わずか3年でも、逆輸入ヴィジュアル系の象徴的存在
■YOHIO リボンにミニドレスという出で立ちで「笑っていいとも!」に登場
■DIE/MAY シンガーが流暢な日本語を操り、TBSの「世界くらべてみたら」に出演
■SOL ARDOUR ナイジェリア系移民の子がヴィジュアル系に目覚めて結成した5人組
■Canary Complex 「本物の“ROMANCE”が溢れていた」とKAMIJOに称賛された
■SeiuN 日本語の「星雲」にちなむプロジェクト名を掲げ、ドラァグクイーンに
■Arogya インドで初めて日本のヴィジュアル系の先人達からの影響を公言
■J-Rocks Facebookのフォロワー数303万人を誇るインドネシア版L’Arc~en~Ciel
■Madmans Esprit Korean Music Awardsに輝いた韓国ネオヴィジュアル系の急先鋒
■大島暁美氏、藤谷千明氏、Madmans Esprit、YOHIO、Uz:ME、DIE/MAY等インタビュー
■「オモシロMV集」「海外のアニメ・漫画・ゲーム関連の主要展示会リスト」等のコラム
目次
2 まえがき
4 目次
6 本書の見方7 第1章 ヨーロッパ編
8 BatAAr 「Art Metal」を標榜し、バンダイナムコの 「鉄拳7」とコラボ
10 Seremedy 実働わずか3年でも、逆輸入ヴィジュアル系の象徴的存在
12 YOHIO リボンにミニドレスという出で立ちで「笑っていいとも!」に登場
14 YOHIOインタビュー
26 Overworld シンガーが日本に居を移しNHK Eテレの教育番組で歌声を披露
27 DIE/MAY シンガーが流暢な日本語を操り、TBSの「世界くらべてみたら」に出演
28 DIE/MAYインタビュー
34 D.N.R. PENICILLIN、アリス九號.、INORANなどと共演した実力派バンド
36 D.N.R.インタビュー
42 AKADO 「赤道(アカドウ)」を意味するバンド名を掲げ、ロシアのシットコムに楽曲提供
43 GaïdjinN 黒人ベーシストを擁し、ブレイクコアやゴシックメタルで知られるシンガーも一時在籍
44 RazorBladeKisses 図書館司書とコンピューター科学を学んだイラン系ゴスロリ姉妹
45 Spectrum-X アメリカとイタリアの国際結婚夫婦が始めたゴシック/インダストリアルメタル
46 Crestillion / Junction Skies / Kerbera / Panorama / Karmia / Jenlayn
47 Cinema Bizarre / Gaztrea / Ishiixxiii / Leere / Malus d’Eris / Nana:[shi]
48 Shizzura / unSayn / VII ARC / Akamaru / Ante Alice / AtOmsk
49 Dirt Angel / HYBRIDS / Régence / The RedMoths / V-Drain / Zaylem
50 Zwei Luna / Machina Shogunate / Miseria Visage / Karelia’s Discord / ピンク自殺 / Days of Abuse
51 GothicDolls / Nomad / Hisashi 2.0 / Keritsu / Virgins O.R. Pigeons / Lolita KompleX
52 ∆UR∆L C∅M∆ / Counting Wolves / МИAZM
52 海外のヴィジュアル系アーティストのファンの総称は?
53 大島暁美氏インタビュー
60 お役立ちサイト集
62 細分化されたヴィジュアル系のサブジャンル63 第2章 南北アメリカ編
64 SOL ARDOUR ナイジェリア系移民の子がヴィジュアル系に目覚めて結成した5人組
66 Shola Aurora(元SOL ARDOUR)インタビュー
73 Canary Complex 「本物の“ROMANCE”が溢れていた」とKAMIJOに称賛されたソロプロジェクト
74 Lacrimorta MALICE MIZERを敬愛し、男から女に移行したトランスジェンダー
75 [geist] アメリカ東海岸最大級のアニメ関連展示会に3回参加した男女混成の5人組
76 Allumina コテ系からカジュアルな装いに路線変更し、HIZAKIのブラジル公演をサポート
78 Marsara
79 Allumina Marsaraインタビュー
85 PSYGAI 1st EP発表当時はコテ系の出で立ちで日本語詞の楽曲をプレイ
86 SeiuN 日本語の「星雲」にちなむプロジェクト名を掲げ、シンガーはスペインに渡ってドラァグクイーンに
87 D’stort / Hex.Sys / Jet Set Gypsies / Licht:noir’e / Love Twice Despaired / NIL x NOIR
88 Ossu 押忍 / Reset Memory / Saidan / Skiver / Stevie Ray Corn / Venustra
89 Romantica / XMASH / Fälkor / Fleur Preludio / Haru Nonell / Shokora
90 Siniestra / Tenshi No Yume / AOI / A’urea / Dark En Sakkay / Drace XII
91 Dreizehn XIII / Dvicex / Kurohana / RE:BORN / Sh.U.Ra / SURGE~outofdesperation
92 Ut Opia / Assembler / Koukon / Lanz / Psycho Phobia / Silent†Dust
93 オモシロMV集
94 藤谷千明氏インタビュー
100 海外のアニメ・漫画・ゲーム関連の主要展示会リスト
102 オモシロMV集103 第3章 アジア・オセアニア編
104 Arogya インドで初めて日本のヴィジュアル系の先人達からの影響を公言
106 J-Rocks Facebookのフォロワー数303万人を誇るインドネシア版L’Arc~en~Ciel
108 J-Rocksインタビュー
112 MEA DELUHIのカヴァーバンドとして始動するも、脱ヴィジュアル系に方向転換
114 Silver Ash 日本の朝日新聞の一面に登場した中国初のヴィジュアル系
116 Silver Ashインタビュー
122 Scarlet Horizon NOCTURNAL BLOODLUSTの元ギタリストをゲストに迎えてEPをリリース
123 Ak Benjamin 名門のニューヨーク大学で学んだ台湾のヴィジュアル系通過型ラッパー
124 Ak Benjaminインタビュー
129 中東・アフリカにヴィジュアル系バンドは存在するのか
130 Eve トータルセールス100万枚越えとされる、韓国ヴィジュアル系の始祖
134 Madmans Esprit Korean Music Awardsに輝いた韓国ネオヴィジュアル系の急先鋒
136 Madmans Espritインタビュー
146 ms. isohp romatem 1990年代のイギリス発のブリットポップに、名古屋系の退廃的な佇まいを融合
147 Chocoretto / Coitus Delusion / DAI★SHI / Hydra / Ivy Moire / Jellyfish
148 JUDEA’S ROD / KUDAITA / Melody Maker / SCUM(スカム) / SUICIDE MAYA / Wyvern
149 X SHIBUYA / MaleRose / Jiwa / A.J.K.(Army of Jade Kirin) 玉麟军 玉麟軍 / Dahlia Artery 紫色动脉 紫色動脈 / Fall in Sex 秋天的虫子 秋天的蟲子
150 INVAGUE / Lilith / MarA / The Falling 堕天 堕天 / the Naraka 奈落 奈落 / ParanoiD
151 Psycho Skull 瘋髏 疯髅 / Initial Retribution / Kagome / NARAKU 奈落 奈落 / Reset 零彩度 零彩度 / The First Front 第一戰線 第一战线
152 6XT7 / Angel Heart / Daylotus / KnavE / L’avidite / Nemesis
153 Trax / Wiretap in My Ear / VOID / Noir du’Soleil / Tamala Park Book Club / Terror Parade
154 日本の先人達の魅力をあらためて考察155 第4章 番外編
156 Esprit D’Air 日本にルーツを持つマルチプレイヤーがイギリスで率いる多国籍プロジェクト
158 GPKISM 短命に終わるも、世界各地でライヴを敢行した日豪ゴシック/インダストリアル系デュオ
159 Uz:ME スウェーデンのギターチームが、「機動戦士ガンダムSEED」などに出演した人気声優と異色バンドを結成!
160 Uz:ME インタビュー
168 IN a SCAR / Rose Mist / Shinsei 新生 / Tokyo Grace / XAVAK / ケミカルピクチャーズ
170 日本のアニメと先人達との深い関係172 索引
174 参考文献一覧
175 あとがき
前書きなど
日本にバンドブームが訪れた1980年代、X JAPAN、THE WILLARD、DEAD END、COLOR、BUCK-TICKといった派手なメイクと衣装で着飾ったバンド群が音楽シーンに登場した。もちろん日本ではそれ以前にも沢田研二、忌野清志郎、一時期のY.M.O.などメイク姿の男性アーティストが活動していたが、X JAPANをはじめとする前掲のバンド群は「お化粧系」とか「オケバンド」などと呼ばれたり、パンクやハードロック、ヘヴィメタルに適宜カテゴライズされたりしていた。
やがて前述のバンド群の中から、X JAPANが2ndアルバム『BLUE BLOOD』(1989年)でメジャー進出を果たし、80万枚以上のセールスを叩き出す。ヴィジュアル系という言葉の起源は、当該アルバムのジャケットに記された文言「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」に遡るという説が有力であり、1990年の時点で創刊していた専門誌『SHOXX』はこの『BLUE BLOOD』の文言を参考にして「鮮烈なヴィジュアル&ハードショック」というキャッチコピーを考案。X JAPANをはじめとする前述のバンド群に加え、GLAY、LUNA SEA、黒夢、PIERROTといったバンド群も紙面を賑わした。そして、1997年にLa’cryma Christi、FANATIC◇CRISIS、MALICE MIZER、SHAZNAから成る「ヴィジュアル系四天王」が一斉にメジャー進出。第一次ヴィジュアル系ブームは最高潮に達したかに見えたが、X JAPANは1997年の大晦日の東京ドーム公演で一度解散。2000~2001年にかけてSHAZNAが活動を休止し、LUNA SEAも「終幕」。MALICE MIZERも無期限で活動停止したことなども重なり、21世紀の到来と共にヴィジュアル系の熱は冷めたかに見えた。
しかし時を前後して、ヴィジュアル系という言葉は諸外国にも徐々に浸透し、欧米では「Visual Kei」または略称の「V Kei」という和製英語として、中華圏では「视觉系」ないし「視覺系」と翻訳されて定着。NIGHTMARE、the GazettE、シド、アリス九號.から成る「ネオヴィジュアル系四天王」の台頭による第二次ヴィジュアル系ブームと呼応するかのように、諸外国にもヴィジュアル系という日本発の音楽カルチャーに魅せられ、海外でこれを実践するフォロワー達が登場するに至った。本書は主にそうした外国人のヴィジュアル系アーティストを扱う野心的な1冊である。しかも各アーティストの出身国は30の国・地域にまたがり、番外編で扱う多国籍バンドを含めると掲載アーティスト数は157組に及ぶのだから驚きだ。
本書は次のとおり、4章仕立てで成り立っている。●第1章:ヨーロッパ編(49組・61作品)
V ROCK FESTIVAL’11に出演したスウェーデンのSeremedy、イタリアのD.N.R.などが登場。Seremedyの女形ギタリストとしてキャリアを始め、ソロとして2012年のSUMMER SONICに出演したYOHIOのことをご記憶の読者諸氏も多いかもしれない。スウェーデンのKerbera、イタリアのSpectrum-Xなども来日公演の経験がある。●第2章:南北アメリカ編(48組・58作品)
黒人メンバーとフィリピン系メンバーから成るSOL ARDOUR、2025年発表の3rdアルバム『A Whisper of Spring』で一躍注目を浴びたCanary Complexなどが登場。カジュアルな出で立ちをしたブラジルのAlluminaの一部メンバーは、シューゲイザー路線のMarsaraという別バンドも掛け持ちしている。●第3章:アジア・オセアニア編(51組・79作品)
日本と距離が近いせいか、この地域のアーティスト数・作品数が最も多く、中国や韓国の一部アーティストの結成年は1997~1998年まで遡る。インドネシアのJ-Rocks、韓国のMadmans Espritなどは複数回の来日歴があり、変わったところではAk Benjaminという台湾のヴィジュアル系通過型ラッパーが登場する。●第4章:番外編(9組・17作品)
BLOODのKiwamuが立ち上げた日豪ゴシック/インダストリアル系デュオのGPKISM、日本とスウェーデン混成のUz:MEといった多国籍ユニットないしバンドを、「世界過激音楽」シリーズならではの視点で選定して掲載。この番外編では、日本では入手が難しいオムニバス盤や映像作品も掲載している。アメリカにはvkgy (ブイケージ) というWeb媒体がある。これはKISAKIが率いるUNDER CODE PRODUCTIONのオンライン上のファンコミュニティーを母体に開設されたもので、洋の東西にかかわらず多数のヴィジュアル系アーティストの情報を参照できるデータベースサイトの側面も併せ持つ。たとえば「overseas」というタグを使うと、本稿執筆時点で約100組のアーティストが一覧表示されるが、全アーティストの音源がきちんと聴けるとは限らない。特にMySpaceの全盛期しか活動しておらず、すでに解散ないし活動停止したアーティストの場合、2019年に発生したMySpaceのサーバー移行トラブルにより楽曲データが根こそぎ失われている。たとえvkgyで情報を参照できても、実際に曲を聴けなければ紙面で取り上げる意味がない。よって、日本で曲を試聴できないアーティストは選外とし、筆者が独自に仕入れた情報も加味しつつ、実際に曲を聴いたアーティストだけを厳選収録した。その際にはデモ音源やシングルだけでなく、フルアルバムないしEPを聴けるアーティストを優先している。vkgyをはじめ、筆者が本書執筆時に重宝したWeb媒体、ブログなどは「お役立ちサイト集」というコラムに列挙してあるので、是非ご覧願いたい。
誤解を恐れずに言えば、ヴィジュアル系が海外まで浸透した一因はオタク文化との相性のよさである。実際に多くの識者が、派手なメイクと衣装で着飾ったヴィジュアル系のアーティストは漫画・アニメ・ゲームのキャラクターやコスプレイヤーを想起させると指摘している。それに日本の先人達が海外遠征時に漫画やアニメ関連の展示会でライヴしたり、アニメやゲームに楽曲を提供した事例は多数見受けられる。本書掲載アーティストの中にも、日本の先人達がアニメやゲームに提供した曲をきっかけにヴィジュアル系に目覚めたケースが多々見られ、少なくとも38組(約24.2%)が歌詞の一部または全部が日本語の曲をプレイしている。そこで本書中盤には「海外のアニメ・漫画・ゲーム関連の主要展示会リスト」、終盤には「日本の先人達とアニメとの深い関係」というコラムをそれぞれ設けた。なおかつ初心者でも楽しめるよう、年季の入ったヴィジュアル系ファンなら言わずもがなの用語にも、おさらいを兼ねて注釈を適宜入れたり、コラムを設けたりした。
単にディスクレビューで紙面を埋めるのではなく、当事者達の証言も拾い集めた。本書には、各章を代表するアーティスト10組のインタビューを収録しており、いずれも本邦初公開と思われるエピソードが満載だ。ヴィジュアル系に精通する識者を代表して、大島暁美氏と藤谷千明氏にも登場願った。
諸般の事情でやむなく掲載を見送らざるを得なかったアーティストもいる一方で、本書掲載アーティストの少なくとも26組(約16.5%)は男女混成またはメンバー全員が女性であり、日本では希少なツインヴォーカル形態のアーティストも掲載している。さらに付け加えると、前掲のvkgyには日本に住まう我々からすると、「これはヴィジュアル系というよりゴシックやインダストリアル、またはダークウェイブ系では?」とか「このアーティストの出で立ちはヴィジュアル系というよりゴスロリファッションでは?」と感じるような海外アーティストの情報も混在している。できれば、そういう差異には目くじらを立てず、本書はヴィジュアル系という日本発の音楽カルチャーを海外の人々がどう解釈し、受け入れてきたのかを代弁する1冊だと見なしてほしい。
著者プロフィール
水科 哲哉(ミズシナ テツヤ)
『デスメタルコリア』『デスメタルインディア』(共に小社)で、韓国初のヴィジュアル系バンドと称されるEveと、インドにヴィジュアル系の要素を初めて持ち込んだというArogyaをそれぞれ取材。そのさなかに韓国のMadmans Espritの来日公演を2回観たことで、諸外国でヴィジュアル系がどう受容されているのかに興味を抱き、本書執筆に至る。日英韓の3ヵ国語を解するライター・編集者・翻訳者として70点以上の翻訳書の編集制作に従事。担当書籍は『プラチナ・ディスクはいかにして生まれたのか テッド・テンプルマンの音楽人生』(シンコーミュージック)のような洋楽ロック関連本から、『THE MEANING OF JUNGKOOK』(KADOKAWA)のようなK-POP関連本に至るまで多岐にわたる。英語の共訳書に『アンプ大名鑑[Marshall 編]』(スペースシャワーネットワーク)があり、『BURRN!』臨時増刊『METALLION』ガールズメタル特集号(シンコーミュージック)と『METAL HAMMER JAPAN』(リットーミュージック)で取材・執筆経験がある。合資会社アンフィニジャパン・プロジェクト代表社員

