突然ですが『メロディック・ブラックメタル・ガイドブック』を出版します! 著者は藤澤正樹さんと近藤知孝さんです。

『世界過激音楽』シリーズとしては25巻目に到達しました。

藤澤さんはブラックメタル老舗サイト『鬼怪音』の運営主として、知る人ぞ知る存在で、その掲示板は日本の黎明期ブラックメタルコミュニティーで猛者達が集っていた事で知られています。

もう一人の著者の近藤さんは弊社から『ポストブラックメタル・ガイドブック』を2022年に出版されています。日本人として初発掘しているブラックメタルバンド数が、ナンバーワンであることは確実な速報性が高いディガー。

日本最高峰レベルのブラックメタルマニアの二人組が、「メロディック・ブラックメタル」というある意味、最も輪郭が曖昧で掴み所がないブラックメタル・サブジャンルにチャレンジしました。

洗練されたプロダクション・寒々しいムード・邪悪さで

メロデスとは異なる叙情性を確固たるものにした メロディック・ブラックメタル!

メロディック・ブラックメタルはコアな強硬派、プリミティヴ系、ウォーベスチャル・ブラックメタル系からは、軟弱者として小馬鹿にされる事が多く、またメロデスとは異なるものとして認知されてきてはいるものの、サブジャンル集団としてのコアがなく、結束力はあまり見られません。

そのバックグラウンドの内訳を更に細かく見ていくと見ると「黒くなったメロディック・デスメタル」「シンフォニック・メロディック・ブラックメタル」「メロディック・ブラッケンド・デスメタル」「メディーバル・ブラックメタル」「アトモスフェリック要素のあるメロディック・ブラックメタル」、そして「メロディアスなブラックメタル」と実は多種多様です。

またポスト・ブラックメタルのようにヒップスター系としてメインストリーム系メディアでトレンディーな扱いを受けることもなく、やや宙に浮いた存在です。

しかしその荒涼とした叙情性、暗黒感、プロダクションのクリアさ、発想力の豊かさ、メロディの中毒性・キャッチーさ、メロウでメランコリックな雰囲気、耽美的な世界観、練りに練られた曲構成、高速でテクニカルな演奏力、そして何と言ってもその爆速感から、実はメタルサブジャンルの中でもそのミュージシャンシップのクォリティはトップクラスと言っても過言ではないでしょう。

プロフェッショナルなエリート集団にしかなし得ないサブジャンルと言えます。

Dissection 原典にして頂点
Marduk 咆哮する機甲師団
Catamenia 狼ジャケ
Necrophobic サタニックイメージ
Thulcandra ジャンル復権に最も貢献
Dark Funeral 爆速ブラストビート
Naglfar メロデスの感性
Watain Dissectionの正当な後継者
Sacramentum フローズン・ブラック最高峰
Keep of Kalessin メロディック・エクストリーム・メタル

有名どころを10バンドに絞るとこういったバンド達になりますが、これら以外にもDarkenhöld、Mgła、Unanimated、Ancient、Windirなど選抜に迷った有名バンドが大勢します。ジャンルの曖昧さの割にはビッグネームがかなりいるのが分かるかと思います。

本全体では575バンド、754作品紹介しています。

そしてインタビューはかなりの大御所に成功しました。

Interview

Dawn
Catamenia
Necrophobic
Grafvitnir
Thron
Malist
Dark Fortress
Darker Mysteria
Sorcier Des Glaces
Dan Swanö

どれも凄いですが、Dawnに至っては90年代の中期から後期に掛けて、ブラックメタル黎明期に日本で特に人気があったものの、それ以降音沙汰がなかったバンドにも答えてもらいました。

また残念ながら解散してしまいましたが、大人気を誇ったドイツのDark Fortressのインタビューも掲載しています。

Column

青ジャケに外れなし
アメリカはブラックメタル不毛の地だったのか
メロデスとメロブラの夜明け
『メロデスガイドブック』
内藤智裕寄稿
…etc

随所にメロブラに関するコラム、ミニコラムを設けています。そして隣接する『メロデスガイドブック』の著者の内藤智裕さんに、メロデスとのメロブラの違い、分岐点に関するコラムを寄稿してもらいました。

……と完全フル装備、全マシ状態になっている『メロディック・ブラックメタル・ガイドブック』。

未だに円安インフレが止まらず、印刷製本代も上がり続けていますが、それでも208ページで2800円オールカラーという出血大サービス。

またしてもメタルNGO(Non Profit Organization)状態が続いており、企業利益を追求することに対する諦めの境地に。

ちょうど冬らしく、2025年の1月中旬に発売開始予定です。