日野健志郎さんによる『慰安婦像大図鑑』が完成したので、中身を紹介します。

日の丸をモチーフにしたカバーデザイン。

帯を取り外したところ。

シンプルな本扉。

袖には弊社刊行の吉村剛史著『ソウル25区=東京23区』と、関上武司著『中国抗日博物館大図鑑』を紹介。

関連書籍としてお薦めです。

日韓関係の宿痾としても知られる慰安婦問題。本書では政治的問題には一切触れず、純粋に芸術品として鑑賞・批評した旨を「はじめに」で宣言。

版元ドットコムの紹介ページで全文が読めます。

「慰安婦」と「慰安婦」はまた別の現象で、ここではその「慰安婦像」の「これまでの歩み」について細かく解説しています。

この『慰安婦像大図鑑』では韓国全土の慰安婦像をほぼ網羅。その数は155像におよびます。

その目次。

慰安婦像について理解する上で必須の言葉や概念を詳しく説明した「用語集」。

慰安婦像を各要素に分解して、それぞれの見どころを説明しています。

左は「慰安婦像年表」。そしていよいよ第1章の「ソウル」。

ここまで辿り着く前に巻頭で非常に充実した資料が豊富に設けられているのが、分かると思います。

日本大使館前 慰安婦問題の総本山は現在も厳戒態勢継続中!!

まずは慰安婦像のプロトタイプとなる日本大使館前の慰安婦像。今現在も毎週、水曜デモが開催されており、最も有名な慰安婦像です。

住所やハングル表記の住所、建立者、設置年など詳しいスペック表だけでなく、建立の背景や作品解説、そして「レア度」「芸術度」などで採点。

安重根義士記念館前 「愛国の英雄」記念館隣に韓・中・比、初の3国合同慰安婦像!!

「中国や北朝鮮による日韓離間工作なのではないか」と保守派から言われることがある慰安婦像。こちらは韓国・中国・フィリピン合同制作によるもの。

往十里広場 安モーテル密集地に降臨した四人の慰安婦像サンタ!!

慰安婦像にはどんどん衣服が着させられていくのですが、こちらはクリスマスファッションに身を包んだもの。

漢城大入り口駅出口横公園 古に両班も住んでいたハイソタウンで中韓コラボ!!

こちらも中韓コラボの慰安婦像で、韓国の顔がのっぺりとしたものの一方、中国の顔は目鼻、唇が厚く象られています。

大賢文化公園 親日派の残滓に妨害されて名門女子大生が困惑!!

慰安婦像は最初の頃は「寒いのではないか」と防寒着やマフラーを着させられていたのですが、徐々にエスカレートしていき、なんだか地球外生命体の様なものも。

こちらのレイアウトが1像1ページの中堅クラスの慰安婦像のページです。

設置由来や背景解説、そして見どころのポイントを紹介。

上着やマフラーだけでなく、ニット帽も被せられ、ぱっと見、慰安婦像には見えないようなものも。

またこれらの慰安婦像の顔立ちだけでも、いわゆる日本大使館前のデザインとは異なる多種多様の慰安婦像が存在することが分ります。

この『慰安婦像大図鑑』はコラムが非常に充実しています。

慰安婦像には原初的シャーマニズム形態が垣間見られます。

聖地化し、色々なお供えものが置かれています。

慰安婦像と言えば「あいちトリエンナーレ2019」で物議を醸し、中止に追い込まれた企画展「表現の不自由展・その後」。

2022年に表現の不自由展実行委員会によって、くにたち市民芸術小ホールでも展示されたので、コラムで紹介。

さてこれで第1章が終わり、次が第2章。

韓国自生植物園 世界中が度肝を抜いた安倍元首相激似の土下座像!!

この『慰安婦像大図鑑』は2020年の時点で100体の撮影に達成し、終わりが見えていました。

しかしコロナが発生してしまい、途中で中断を余儀なくされました。

その合間に出来た、安倍晋三元総理大臣をモチーフにしたと見られる、土下座像が誕生。

結果的にこの土下座像も本書に収録することができました。

そしてまさかその後、暗殺されるとは……。

ナヌムの家 元慰安婦居住施設で20体近くのリアル慰安婦像が大集結!!

日本大使館前の慰安婦像よりも先に出来ていた、ナヌムの家の慰安婦像。

巨大な半裸のお婆さん像などインパクトがある像が多く設置されています。

小さなアンナの家 老人介護施設で拳銃握りしめた安重根とコラボする白い慰安婦像!!

日本人からすると慰安婦像が宗教チックになっている様に見えるのですが、安重根の像と並ぶ、聖母マリアに似た様に見える慰安婦像。

このコラムでは慰安婦像の周りにある像を紹介。李舜臣や朝鮮戦争のアメリカ兵などのをモチーフにした像もあります。

保寧市文化の殿堂 石が名物、泥の祭典開催地の慰安婦像は重量級石造!!

日本大使館前のプロトタイプ型慰安婦像から、どんどん進化していき、芸術性、前衛性が高まってきている慰安婦像が増えていきました。

ブツブツした黒い質感が異様に映ります。

清楚なイメージのものもあれば、お笑い芸人にいそうな顔をしている像もあります。

また設置が杜撰だったのか、管理が行き届いていないのか、傾いてしまっています。

慰安婦像は韓国の公園や広場など憩いの場に設置されている事が多く、一般市民との触れ合いの写真。

日本ほど公共交通機関が発達していない韓国。そんな韓国全土の慰安婦像を効率的に周る為のコラム。

慰安婦像を建立するのは大変なので、フィギュアも登場しました。

ネット通販で買え、持ち歩けるので世界各国の旅行先で記念撮影することを奨励。

蓮池アートホール 東学党の乱の時代から受け継がれた革命精神!!

無表情の日本大使館前モデルとは異なる、表情豊かな慰安婦像も続々と誕生。怒りをあらわにした表情が印象に残ります。

益山駅広場 ふざけた日韓合意なんかこの足で踏み壊してやる!!

慰安婦問題の解決になるかと思いきや、結局崩壊してしまった2015年日韓合意。

安倍・文在寅政権当時、日韓関係は戦後最悪と言われていましたが、岸田・尹錫悦政権に代わってから、関係が改善されてきています。

途中でコロナも挟んでおり、慰安婦像どころではなくなり、新しく建立される像も激減しました。

羅州学生独立運動記念館広場 顔と体のバランスが変!!……珍デザインで地元大ブーイング!!

日本大使館前型がマンネリ化した結果、各地で差別化されていき、前衛すぎてシュールな像も増加。

谷城レジャー文化センター前 日帝から決死の思いで逃げてる最中に靴が脱げちゃった!!

ストーリー性のある慰安婦像も増えていきました。日本人がイメージしている慰安婦像だけでなく、色んなデザインの慰安婦像が韓国全土に増殖したのです。

慰安婦像が「寒くてかわいそう」というところから、どんどん衣服が着させられ、コスプレ化。その慰安婦像ファッションのコラム。

慰安婦像が増えていくにつれて顔立ちも個性化・美形化していきました。独断と偏見で選んだ「ミス慰安婦像」のコラム。

右は慰安婦像を作った彫刻家や芸術家たちに、世界観やデザインで大きな影響を与えたと見られる映画『鬼郷』。

南望山彫刻公園入り口 「太陽の塔」チックな慰安婦像に岡本太郎もびっくり!!

もはや慰安婦像だと言われなければ、そうとは思えない像も。

日本総領事館後門前 行政が一旦撤去の後に国民の猛抗議を受けて再設置!!

その後、徴用工問題も発生。ソウルの日本大使館前のものと同じぐらい大問題になってしまいました。

リアリティを忠実に追求した結果、なんとも言い難い人相をしている慰安婦像も。

一度見たらなかなか忘れられない表情。

最後の方のコラムでは、慰安婦像の近くに設置された日本語の碑文。

よくよく精読すると、誤字脱字や変な日本語が多かった事が発覚しました。

ある日本語の書籍からまるごとコピペした上に、その中にあった「(略)」という文字まで、そのまま碑文に刻印されているものまでありました。

さてこのように慰安婦像の魅力や面白さを徹底的に調査した『慰安婦像大図鑑』。

慰安婦問題について政治的な価値判断を下したり、議論したものではなく、純粋に芸術・アート作品・文化現象として紹介したものです。

韓国国民を熱狂させ、全土に爆発的に増殖した慰安婦像(既に沈静化し、下火らしいです)

韓国現代史の一時代を築いた文化現象としてフォーカスしました。

実は慰安婦像に反発したり、撤去を呼びかける韓国保守派も増えてきており、今後、これらの慰安婦像がこのまま残り続けるかは定かではありません。

韓国では『慰安婦像大図鑑』と同じ趣旨の本は出版されておらず、同じレベルで網羅的に収集した人やサイト、資料なども皆無です。

この韓国における慰安婦像ムーブメントをきちんと記録し、後世に残すべき歴史的資料として書籍にまとめました。

日本人、韓国人、左翼・右翼、別け隔てなく、多くの方々に見てもらいたいと思っています。

Amazonでの発売が数日遅れたみたいですが、現在(2023年7月18日)の時点では在庫ありで、書店でも販売が開始されています。