大江・留・丈ニさんによる『韓国いんちきマンガ読本』が完成しました。

副題が「勝手にコミカライズ・映像化・二次盗作までありの韓コピ世界」とある通り、かつてやりたい放題の時代がありました。

中身を詳しく紹介します。

このカバーは『世界トホホ映画劇場』の著作で知られるアジアのいんちき(パクリ)映画研究で第一人者の大畑晃一監督に描いてもらいました。

マンガは本文が白黒ページな為、オールカラーで刷るのも無駄なのですが、カバーだけは元々の作品自体がカラーなので、巻頭にカラーで全て紹介しました。

チンミのカバーたち。

まえがきと目次

まずは韓国版『空手バカ一代』。テコンドーで世界最強を目指す武道家に置き換わってしまっています。

『明日のジョー』をそのまんまトレースして、看板をハングルに置き換えたもの。

韓国では『鉄拳チンミ』が日本以上に流行ってしまったらしいのですが、そのチンミの顔を他の人気マンガに挿げ替えた、便乗作品が出まくってしまったらしいです。

『スラムダンク』の桜木の胴体にチンミの顔が載ってしまって、プロポーションが奇形っぽくなってしまっています。

そのまんまトレースする訳にもいかない事も多く、検閲を逃れる為に勝手にローカライズされたりもしました。

フンドシがブリーフに描き換えられています。

また性的表現の規制が厳しかった為、肝心なパンチラが見えない状態に。

日本のマンガのパクリを更にパクったものというのはよくあるのですが、その5世代後の盗作作品。

日本の漫画の海賊版だけでなく、アメリカの人気映画を勝手にマンガ化してもいました。これは『スターウォーズ』のマンガ。

映画が配給される遥か前に作られてしまった様です。

『スタートレック』のマンガ。

反共マンガとして、朝鮮人民軍と戦うバットマンのマンガ。朝鮮戦争で韓国に派兵されたアメリカ軍が持ってきたアメコミの影響。

『鉄腕アトム』も人気があったのですが、日本製ではなくアメリカ製TVアニメという事になっていました。

また名前が『原爆少年アトム』というもの。

韓国のアニメと言えば『テコンV』ですね。

韓国ではアニメが放送されていないのに、偽ガンプラが流行ってしまったという状態に。

その偽ガンプラに便乗した偽ガンダムの漫画。

コラムで『タイ版スーパーロボット大作戦』

さてお待ちかねの第六章『いんちき漫画原作映画』。日本のまんがを勝手に映画化していたのでした。

ここからは惜しみなくコストを掛けてカラーページが続きます。

右は『キャンディーキャンディー』の実写版。左はアメリカの『ニンジャ・タートルズ』の実写版。

勝手に『ニンジャ・タートルズ』実写版の続きと、『ドラゴンボール』の実写版。

『SDガンダム』まで実写版。そこまでするか!? 逆に面倒くさくないか!? という驚き。

SDガンダムから牙が生えていたりと、爆笑。

『ドッジ弾平』があまりの人気で、小学校の体育の公式行儀になってしまうほど。そして出演者がどう見ても大人にしか見えない実写版。

ワイヤーアクションを駆使した『スラムダンク』の実写版。

著者の大江さんは韓国以外のいんちきマンガも沢山集めており、特別コラムとして『世界のいんちきマンガ』も用意。

ここで結果的に70ページものカラーページを費やしました。上は香港のウルトラマンのいんちきマンガ。

イタリアのいんちきマンガ。日本のマンガの影響が見て取れます。

タイのウルトラマンのマンガ。

アラブのいんちきマンガ。トレースがかなり拙く、返って味わい深い。

中国のパクリマンガ。北斗の拳やトランスフォーマー、鉄腕アトム、西遊記などが見えます。

最終章は『韓国いんちきマンガ史』。韓国でなぜこれほどまでに日本のマンガの海賊版が横行していたのか、当時の軍事政権という政治的状況や経済、文化的背景を元に学術的に分析しています。

「パクリだ!」と非難したり小馬鹿にする前に、なぜその様な事が起きていたのか、その背景を知ることが大事です。

ここまで好き勝手に日本の別作品をコラージュしまくっていたのも面白い現象で、まるで子供の妄想のようにも見えます。

あまりマンガに詳しくない人でも失笑してしまう事間違いありません。

また大江さんの文体も皮肉がかなり効いており、テンポがよく、その解説文自体、笑いが込み上げてきます。

是非、韓国好き、マンガファンなど多くの方々に読んでもらいたいです。

さてお気づきの方も多いと思いますが、弊社が刊行したかに三匹さんによる『韓国アニメ大全』と密接に関係した内容なので、未読の方は是非、こちらも手に取ってみてください。

他にも韓国といえば『超高層ビビル5 韓国編』『デスメタルコリア』『ヒップホップコリア』が出ていますし、いんちき系では『いんちきおもちゃ大図鑑』『中国遊園地大図鑑』なども人気です。

日本で一番アジアのいんちきネタ、パクリネタを出している出版社である事は間違いありません。