7月11日に書店への搬入を予定していた『珍コリア』ですが、なんと印刷所から印刷を拒否されてしまいました。理由は「性器を彷彿とさせるだけでなく、性器を模したものが沢山掲載されているから」だそうです。

『珍コリア』で載っているのは生身の人間の性器ではなく、秘宝館やセックス博物館で展示されている、彫刻や人形の性器です。またエロ本の様に、性的劣情を刺激する意図で掲載したわけではなく、儒教の影響が強いことで知られる韓国の性文化の意外な側面を紹介する意図です。そもそも『珍コリア』で秘宝館を扱っているのは5章のうちの1章のみです。

それに秘宝館を紹介した本は、都築響一さんの名著『秘宝館』など過去に沢山あります。『珍コリア』がそういった本と比較しても、突出して性器の数が多く載っているとは言えません。

印刷所にはそういった事を説明し、印刷の拒絶は、「表現の自由」に反すると伝えました。しかしその判断は覆せませんでした。

印刷所からは取引条件として、モザイクをかけるということを提案されました。しかし著者の日野さんは拒否されました。

日本では秘宝館以外にも古来、五穀豊穣を祈る目的で男女の性器を模した造形物が御神体として作られていて祭りなどで披露されています。そして、それらはこれまでも多くの報道機関で報道されています。またミケランジェロなど、世界的に有名な芸術作品で性器が露出しているものも少なからずありますが、多くの出版物で紹介されてきました。

今回、取り上げた作品の多くは「無名の芸術家」の手によるものですが中には生涯をかけて、全身全霊、魂を込めて取り組んだ作品もあります。ミケランジェロ同様、その創作精神は尊重されるべきものと考えます。作品にモザイクをかけるということは報道の目的を放棄するばかりか、制作者に対しても非礼であるとのことで、著者の意向として拒否されました。

その結果急遽、他の印刷所を手配せざるを得なくなりました。どうしても出版の遅延が生じるのは避けられず、書店への搬入が7月25日頃になってしまうことになりました。

本書を楽しみにしていた読者の皆様、並びに書店など多くの関係者にはご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ありません。この様な印刷所の過剰コンプライアンスには、深刻な憂慮の念を抱かざるを得ません。