突然ですが『共産主義車 ソ連編』を出版します! 著者は松本京太郎さんで『共産趣味インターナショナル』シリーズのVol.9となります。

閉鎖的な市場で独自の進化を遂げ

多くの制約の下で関係者が必死に開発した末に生まれた

ポンコツ車が次第に 愛らしくなってくる!

チラシの煽り文句の通り、ソ連では計画経済の下で、一般市民の需要をベースにするのではなく、国や官僚主導で自動車が生産されていました。

政治環境の影響を受け、様々な制約から、歪で奇形的な自動車が開発され続けました。

また西側の自動車のライセンスをパクって、それを魔改造したような車種も生み出されました。

次第に西側諸国では考えられないような、ヘンテコリンな自動車文化が育まれていきました。

モスクヴィッチ(初代) ドイツから強奪したソビエト大衆車の元祖
ジグリ 皆が羨む高級車だったのに晩年は最底辺
ザポロージェツ(初代) VWとフィアットを融合させた鉄の豚
SMZ-S-1L 傷痍軍人に支給されたサイクロプス3輪車
オカ 走る棺桶と呼ばれたソビエト軽自動車
ZiS-110 スターリンが愛したソビエト・パッカード
ヴォルガ 2代目後期型ソ連崩壊で凋落した官僚向けセダン
チャイカ 豪華すぎてゴルバチョフに潰された高級車
ブハンカ 半世紀を超えて愛されるオフロードバン
GAZ-51 社会主義建設を支えた東側陣営の象徴的存在
LAZ-695 ウクライナ生まれの流麗な中型バス
GAZ-M1 ライセンスを骨までしゃぶりつくしたセダン
SMZ-S-3D 障害者に移動の自由をもたらしたマイクロカー
UAZ-3160 政府に裏切られたソビエト・ランクル
ニーヴァ 西側に衝撃を与えた大衆SUVの新星
AMO-F15 どさくさに紛れてコピーした初の国産自動車
AMO-2/3 アメリカから買い付け、勝手に国産化
GAZ-AA 赤軍を支えたアメリカ生まれの小型トラック
GAZ-66 人間工学完全無視のオフロードトラック
フェスティヴァーリ ラトビア生まれの元祖ソ連ミニバス
ラトビア モスクワ五輪を陰で支えた新世代ミニバス
ErAZ-762 アルメニア育ちの低耐久性おんぼろバン
SARB-スタルト ドンバス生まれの挑戦的ミニバス

チラシではスペースの都合上紹介できる車種の数に限りがありますが、本の中では以上のような車が、自家用車からトラックまで、438車種も紹介されています。

また各自動車紹介ではその車の開発の経緯や背景だけでなく、生産台数、車両寸法、エンジン、価格、最高速度などといった細かいスペック表を載せています。

そして本の随所に、ソ連自動車文化を知る上で有益な「ソ連人民の自動車購入方法」「ソ連製ロータリーエンジン」「ソ連の自作車両」「ソ連の福祉車両」「ソ連のモータースポーツ」などのコラムを設けています。

ソ連の自動車文化の全てが分かると言っても過言ではないでしょう。

実は集産主義的計画経済のあまりにマヌケな数々のエピソードのオンパレードで、ゲラを校正中に何度も失笑、爆笑しました。

事実そのものでも十分面白いのに、著者の松本さんのユーモラスな文体のお陰で、更に輪をかけて面白くなっています。

自動車にあまり詳しくなくても共産趣味者なら抱腹絶倒間違いなし。

共産趣味者ですらなかったとしても、ノンフィクションの読み物としても楽しめるはずです。

大半の写真を著者の松本さん自らが現地で撮っているというのも偉業です。

オールカラーで240ページもあるのに、なんとか2800円で抑えました。

4月の上旬発売予定です。よろしくお願いします。