突然ですが『絶対に解けない受験世界史4』を出版します! 著者は稲田義智さんで副題は「悪問・難問・奇問・出題ミス集」です。

シリーズ名は「大学入試問題問題」で、いよいよその4巻目ということです。

大学の入試問題制作者達からは恐れられ、予備校の講師からは重宝がられているシリーズです。

センター試験廃止、大学入学共通テストに変更
学校推薦・総合型選抜増加で一般入試縮小

大学の高校科目入試を制作する能力が大幅低下か?!

このシリーズに「収録されてしまう」という恐れからか、一時期はシリーズ存続が危ぶまれるほど悪問や出題ミスが減りました。

「出題ミス」が社会問題として可視化され、一定の抑止力を担っていたのかもしれません。

しかし時間が経つにつれて、大学の高校科目入試を制作する能力が明らかに低下してきています。

前巻が出版されたのが2021年。この間、センター試験が廃止され、大学入学共通テストに置き換わりました。

一般入試を採用する大学は更に減っていき、学校推薦・総合型選抜が増加していったことが原因の一つと見られます。

☆大半が設問と関係ない『ジョジョの奇妙な冒険』のリード文(東京都市大 2022年)
×引用文献を大幅改変、変換ミス、挙句の果てに著者名を誤植(名古屋大 2023年)
×中学生でも知ってる「勘合貿易開始時に足利義満は将軍」ミス(早稲田 2023年)
×範囲外から出題して盛大に誤植するというクソダサ行為(慶應大学 2021年)
×大河ドラマに掛けて「麒麟」の絵画を出すも問題が崩壊(大阪大 2021年)
☆センシティヴな問題で「歴史にif」を答えさせる(産業能率大 2021年)

……等などヘンな問題を徹底的に調査・検証・解説・糾弾!

相変わらず出題者が好き勝手に自分の趣味を披露したり、チェック機能が行き届いていなかったりと、拙劣な問題が多く出されてしまっています。

しかもここに載せているのはほんの一部でしかありません。他にも沢山、変な問題や悪質な問題があります。

その結果、今回の『絶対に解けない受験世界史4』も416ページに上るほどの大著になってしまいました。

また軽妙で痛烈な稲田さんの分析解説記事も相変わらずです。

「よく気が付いたな」と心底驚くような鋭い指摘もあれば、何回も読まないと何が間違っているのかさえ理解できない難しい問題も沢山ありました。

また「新科目「歴史総合」が誕生するまで」「話題になった他科目の出題ミス」 「センター試験地理 ムーミン・ヴァイキング炎上事件」等のコラムもあります。

受験世界史関係者だけでなく、一般読者も読み物として楽しめる内容です(ただし世界史偏差値70ぐらい必要です)。

いよいよこの「大学入試問題問題」も第一巻の登場からちょうど10年。節目の年となりました。

出題ミスは許されないとは言え、人間の営為なので永遠に無くなることはないでしょう。

そしてこのシリーズを待ち望んでいる世界史マニア、関係者、専門家がいてくれているおかげで、継続もできています。

4月上旬に店頭に並ぶ予定です。