突然ですが『デスメタルチャイナ 中国メタル大全』を出版します。著者は田辺寛さんです。

ネット規制で独自の進化を遂げた中華メタル大量繁殖!!

グレートファイヤーウォールによって、外部のインターネット世界と遮断された結果、世界が知らない間に中国では相当奇形・突然変異的メタルが増殖している様です。

今回の『デスメタルチャイナ』での徹底調査の結果、弦楽器の伝統があり、手先が器用で、コピー技術が高い為、相当ハイレベルなバンドが生息している事が判明しました。

Ego Fall グランジから馬頭琴取り入れモンゴリアン・メタルコアの先鋒に
Zuriaake 水墨画のようにダーク・アンビエントとブラックメタルを融合
Black Kirin 京劇も取り入れた南京事件テーマのアルバム出した長春メタル
Hellfire 日本のSabbatを崇拝する武漢メタルシーンの中心人物が吼える
Nine Treasures 馬のリズムが基本にあるモンゴリアン・フォークメタル
Voodoo Kungfu 宗教風のステージングのエクストリーム・フォークメタル
Scarlet Horizon ビリビリ動画で注目を浴びた新世代ヴィジュアル系バンド
Explosicum 南昌メタルを活気付けるザクザク・ファスト・スラッシャー
Barque of Dante 重慶拠点に名だたる外国人招聘した本格パワー・メタル

実はVPNによって、中国人メタラーは普通に外国のバンドを聴けているみたいですが、逆に海外に発信しようという気があまりなく、中国国内で完結しており、ごく一部のバンドを除いて、ほとんどが世界的に無名です。

そのバンド名を英語のインターネットで検索しても、全く情報が出てこない事がよくあります。当然、日本のレコードショップでは売っていません。そもそももはや「盤」という形で音源を出していないのです。

そこで……

全部タダで聴けるXiamiやDoubanストリーミング解説!
簡体字・常用漢字併記で検索しやすい!

中国はほぼ完全にストリーミングに移行している為、ありとあらゆる音源が無料で聴けます。しかし中国人向けのインターフェイスの為、一見すると操作方法がよく分からないので、その解説を詳しく載せました。

また簡体字には馴染みがない日本人の為に、バンドや音源はできる限り繁体字と常用漢字を併記させました。これで肝心な音楽が聴けないという事はほぼありません。

ザッピングしながら読める、まさに時代に合った本です。

内モンゴリアン・フォークメタル世界的大活躍!!

また内モンゴルは、モンゴル国よりも遥かにメタルシーンが発展しており、モンゴル族が主要メンバーだったり、モンゴルをコンセプトにしたEgo Fall、Nine Treasures、Tengger Cavalryなどのフォークメタルが世界ツアーを敢行するほどの人気です。

DSBM/ポストブラックメタル世界有数拠点

南昌には世界トップクラスのPest Productionsが所在しており、ZuriaakeやBe Persecuted、Heartless、Deep Mountains等デプレッシヴ・ブラックメタルやポストブラックメタルシーンでは世界をリードしつつあります。この辺の美的センスは、従来の中国のいんちきとかB級ニュースとは掛け離れており、非常に耽美的で洗練度合いが著しいです。

Chinese Rock Databaseと対談!

中国のロックと言えば『Chinese Rock Database』を思い出す人もいるかもしれません。現在なミャンマーに在住する運営者、香取氏とのインタビューにも成功しました。

唐朝や黒豹 等古典中華ロックも!

中国のメタルはまだ先覚的なマニアにしか知られていませんが、中国ロックは日本でもそれなりに知名度と人気があります。特に唐朝や黑豹は好き好んで聴いていた年配ハードロックファンも多いのではないでしょうか? 中国ロック黎明期の90年代北京シーンに関しても一章設けて詳述しています。

『中国抗日ドラマ読本』 岩田宇伯特別寄稿!コロナ応援ソング特集

そしてこの『デスメタルチャイナ』、いよいよまとめる段階に入ってから、武漢で新型コロナウィルスが発生しました。そこで日々、中国のテレビをウォッチし続けてきた弊社刊行『中国抗日ドラマ読本』の岩田宇伯さんに、コロナウィルスに対峙する医療関係者や市民を応援するトリビュートソングやプロパガンダ作品を集めて解説してもらったコラムも緊急で設けました。

また中国に長年滞在した経歴があり、全ての長期休暇を中国渡航に費やし、よく中国人と間違えられる事が多いらしい『中国遊園地大図鑑』の関上武司さんに、中国語の記述に関して全面的にクロスチェックしてもらいました。

スマホやAI、ドローンなどのテクノロジー分野では世界最先端を走る中国ですが、下手するとこのまま発展すればメタルシーン全体が世界トップクラスに躍り出る可能性が非常に高いと見られます。

まだインターネットの閉鎖性や中国人の世界視野のなさで、その多くが国内に留まっている様ですが、多大な可能性を秘めています。

そしてその中国のメタルシーンをここまで詳細に研究した書籍は中国を含めて、世界的にも存在しません。世界の中で日本人が誰よりも早く、本書『デスメタルチャイナ』によって中国メタルの可能性と魅力を知ることができます。

掲載アーティスト496組、紹介音源914枚、408ページ、52万字という超大著。それでいて2500円と、相変わらず情報量と価格が釣り合わないアンバランスさ。

早ければ7月10日頃に店頭販売開始予定です。