突然ですが『重慶マニア』を出版します。副題は「人口3000万人を超える世界最大の市」で著者は重慶研究家の近堂彰一さんです。

TwitterはこちらJINTANG@重慶研究家(@chongqingman)

日本では「重慶」と言っても、せいぜい知られているのは「重慶爆撃」か「重慶火鍋」ぐらいで、下手すると香港の「重慶マンション」の方がヒットするぐらいです。

しかし実は人口が3000万人を超えていて、北海道と同じぐらいの面積を持つ直轄市です。もはや一つの「国」と言っても過言ではありません。実際にヨーロッパの国々と比べても、重慶の方が人口・面積ともに大きい事の方が多いでしょう。

そして今では年間5億人(※公称)もの観光客が訪れる、中国最大の人気観光地になりました。また一帯一路の入り口として、国家級開発地区に指定され、現在のGDPは「北上広深」に次ぐ第5位に位置しています。

その割にはあまり知られていない盲点都市をマニアックに徹底案内してみました。

鉄道マニア■10時間乗ってもまだ重慶、市内2駅だけを結ぶ高速鉄道、市内間フライトも
軌道交通マニア■マンションに突っ込むモノレール、アジアで2番目に深い駅
防空壕マニア■火鍋店、酒蔵、家具街、洗車場、ガソリンスタンドとして今でも活躍
天空橋マニア■崖に建った高低差のおかげで1階が22階になる魔界ダンジョン
ヘアピンカーブマニア■歩道すら急カーブ、ジャンクションも行き交い、巨大迷路
火鍋マニア■一時は市内飲食店の62%が火鍋、火鍋マウンテン、火鍋祭り、火鍋温泉も
小面マニア■牛肉、目玉焼き、ひよこ豆を乗せ、痺れを効かせた花椒ソウルフード
四川軍閥マニア■蜀軍政府、中華民国四川都督府、防区制、四川自治の有為転変
国民政府史跡マニア■中華民国臨時首都となるも放ったらかしでまるで廃墟か古代遺跡
大使館マニア■日本租界、米ソ武官処や大韓民国臨時政府跡地、日本軍捕虜収容所も
国共内戦マニア▪重慶談判会場桂園、毛沢東宿泊紅岩村、楊虎城将軍紀念室など
一帯一路マニア■内陸部初の国家級開発地区、GDP「北上広深」に次ぐ第五位に

こういったマニアックな切り口で76ぐらいのテーマで解説しています。

そして一部の歴史マニアや中国ファンが知っている通り、蒋介石は日本と徹底抗戦する為に、重慶に立て籠もって、その地を中華民国の臨時首都にしました。地上からは難攻不落なので、日本軍が「重慶爆撃」した訳です。

しかし国共内戦で国民党が破れて、中華人民共和国が成立。重慶政府の史跡はあまり重要視されていないのか、目立たない牌が建てられているぐらいで、他の商業施設に転用されていたりします(国民政府経済部の跡地は「重慶飯店」となっており、まるで雰囲気は上野のアメ横みたいで、オバちゃん達が服を叩き売りしていました)。

それどころか完全に放ったらかしで、廃墟化した建物も多く、もはや現代史どころか、まるで古代遺跡発掘の考古学。そういったスポットも丹念に巡っています。中華民国ファン必見の内容です。

もちろん中共中央南方局や紅岩革命記念館、重慶談判の跡地など、中国共産党の革命聖地も紹介しています。

日本とも密接に関係があり、中国の中でも重要な都市であるにも関わらず、話題に上る事が稀で、観光で訪れる日本人も少なかった盲点都市、重慶。そんな複雑なバックグラウンドを持つ重慶の魅力に迫ってます。

実は編集者の私自身も先日現地を訪れました。市街地図は全て私の手描きです。この本を編集している過程で、重度の重慶マニアになり、当分、重慶熱が収まりそうにありません。しかし世の中に重慶の概説書がこの『重慶マニア』しかありません。既にゲラで何度も読んでますが、完成した後も何度も読みそうです。また実際にその本を持って再訪したいぐらいです。

是非、『重慶マニア』で読者の皆さんと重慶ブームを共有したいと思っています。

本日下版したので、無事問題なく進めば、12月6日頃までには書店に並ぶ予定です。

A5判オールカラーで224ページなのに、18万字超えの膨大な情報量、それでも2300円とリーズナブルな価格設定。

執筆と編集に費やした時間、渡航費、宿泊費、グルメガイドなどの飲食代を考えれば、完全に採算度外視企画です。

なおこの『重慶マニア』は新たに立ち上がった『地方都市マニア』の第一弾ですが、果たしてシリーズとして続くのかと思うほど凝りに凝った、拘りの企画です。