岡田早由著『東欧ブラックメタルガイドブック2』が完成したの写真で紹介します。カバーを飾るのはウクライナのNokturnal Mortum。

帯を取り外したところ。かなり怖いバンドとして有名ですが、写真使用を快諾してくれただけでなく、Facebookでも告知してくれました。

本扉。「2」とある通り、本書は昨年出版された『東欧ブラックメタルガイドブック』の続編です。前巻を出した時点で、2巻目は想定しておりませんでした。

前巻での対象国は早由さんが住んでいるポーランドやチェコ、スロヴァキア、ハンガリーの四カ国。

そして今回はウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、ラトビア、エストニア、セルビア、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、マケドニア、アルバニア、ブルガリア、ルーマニア、モルドバの15ヵ国。

まずは本書でも一番シーンが盛んなウクライナ。昨今の政治情勢によって、民族主義が更に先鋭化しています。

東欧最大のブラックメタル大国ポーランドに匹敵する規模のシーンを形成していると言えるでしょう。

ロシアによる侵略によって民族主義が高まってきていますが、ロシアのレーベルとの契約を解除したAparhate。反共主義を主張。

コサックの姿をしてライブするBurshutyn。

諸外国からはファシストと忌み嫌われ、ウクライナの一部からは民族解放の英雄として崇められるバンデーラについても歌ったDrudkh。ポストブラック勢から人気です。

「少数限定」のリリースを膨大にリリースするという、何だか矛盾した感じにも見えるDSBM/アンビエントブラックMoloch。

『デプレッシヴ・スイサイダル・ブラックメタル・ガイドブック』でも紹介しています。彼は数々のレーベルも運営。

やはりウクライナだけでなく、旧共産圏全土を代表すると言っても過言ではないNokturnal Mortum。

悪名轟くバンドですが、意外と好意的な対応。本書をFacebookでも紹介してくれました。

キエフに存在する極右レコードショップMilitant Zoneへの潜入記。ここのショップ店員も案外フレンドリーだったそうです。

ウクライナの次はベラルーシ。同国もかなり良質なバンドを輩出してきています。

右ページは宇宙から来たプレデターという設定なのに、民族音楽風のメタルを披露するPlemя。

ラトビアには「黄泉」という神道メタルを標榜するロシア系住民によるバンドが。

エストニアには戦間期の独立エストニア共和国時代をコンセプトにしたLoits。エストニアSS義勇兵の軍装写真も見もの。

今回も「東欧マニアック観光スポット」コラムを設けています。特にリトアニアの十字架の丘が有名です。

他の国々に比べてやや盛り上がりに欠ける旧ユーゴスラヴィア諸国。しかしセルビア出身で、変な格好をしながらハイレベルのメロディックブラックを演奏するAll My Sins。

コソヴォを独立国と見なすならば、唯一ブラックメタルが存在しない国です。残念ながらアルバニアにもごくわずかしか存在しません。

右ページはレーベル特集。

覚えている人もいるかもしれない、ルーマニアのライブ会場火災。大量の死者が発生し、同国のポンタ首相が辞任するに至った、メタル界を震撼させた出来事を解説したコラム。

同国北部を意味するバンド名のBucovina。このバンドだけでなく、BuciumやKa Gaia Anなどルーマニアには個性的なフォークメタルが数多く存在しているようです。

なおこのBucovinaは来日を希望しており、一時期その計画もあった様です。

本書が取り扱っているバンドの中で、Nokturnal Mortumに次いで有名と言っても良いルーマニアのNegură Bunget。

ポストブラック、アトモスフェリックブラックファンから絶大な支持を得ていましたが、残念ながらリーダーが急逝した事により、解散。

ロゴが陰毛にしか見えないという事で話題になったBasarabian Hillsですが、実はかなりハイクォリティなアンビエントブラックを奏でています。

モルドバという辺境地から、ここまでレベルの高いバンドが出てきた事が驚異的です。

モルドバの実効支配が及ばない、「未承認国家沿ドニエストル共和国」に著者の岡田早由さんが訪れた時のレポート。

……とここでは紹介しきれないぐらい盛り沢山の内容です。

前巻と並べるとお揃い感が出ますが、それぞれ全く別の領域を扱っているので、どちらから読んでも大丈夫です。もちろんどちらか一方しか興味がなくても構いません。

ただ分厚さで言えば今回の『東欧ブラックメタルガイドブック2』の方が遥かに分厚いです。

前巻が248ページだったところ、今回は328ページに増えています。

ヴィシェグラード四国に比べても、更に情報が乏しく、闇に包まれたアンダーグラウンドシーンが多い、新東欧諸国。

ネットを含めて日本語で紹介されるのが初めてのバンドや音源が沢山載っています。

本日1月10日が正式な発売日で、既に多くの大型書店やオンライン書店で販売が開始されています。

是非買ってみて下さい。

また1月26日土曜日の昼12:30から新宿歌舞伎町のRock Cafe Loftで本書『東欧ブラックメタルガイドブック2』の発売記念パーティをやります。

是非お越し下さい。

祝!!『東欧ブラックメタルガイドブック2』発売記念イベント