突然ですが『デプレッシヴ・スイサイダル・ブラックメタル・ガイドブック』を出版します。著者は札幌のDSBMバンドNo Point in Livingの長谷部裕介さんです。

デプレッシヴ・スイサイダル・ブラックメタルは別の言い方だと、頭文字を取って「DSBM」や「鬱ブラック」「自殺系ブラックメタル」等と呼ばれています。

多数のサブジャンルに分派したブラックメタル。その中でもDSBMと呼ばれる一派は
反キリスト教や悪魔崇拝といった他者に対する攻撃を放棄し、その矛先を己自身に向けた。
その結果、生み出された音楽は余りにも内省的・自虐的・厭世的だった。
荒々しく生々しい音質は「チリチリギター」「ヒョーヒョーヴォーカル」と揶揄され、
群れる事を好まない為「ぼっちメタル」「ひとりブラック」と蔑まされる事もあった。

聴いている内にだんだん死にたくなってくる
この世で最も危険な音楽と言っても過言ではない。

実際にブラックメタルのサブジャンルの中でも、一番病んでいるサブジャンルと言っていいでしょう。

全部で336ページ、43万字と、かなりの大著で、その中で473アーティストを紹介し、803枚の音源をレビューしています。

有名所でいうと:

■明るいながらも暗く、強烈な個性でDSBMを代表する第一人者 Lifelover
■VICEでも特集組まれた説明不要のぼっちブラックメタル代表格 Xasthur
■精神病院に強制入院させられたのも納得の異常な叫び声とルックス Silencer
■聴いているだけで凍え死ぬ高品質アンビエントブラック Coldworld
■絶望的なネガティブオーラを放ちまくるメランコリックブラック Trist
■数々の奇行からDSBMの外までも異名を轟かせるカリスマ Shining
■幸せだった日々を追憶しながら、部屋で孤独死しつつある重苦しさ Happy Days
■精神的ダメージを与え続ける自殺幇助メロディ Make a Change… Kill Yourself

などなど。ここに載っているバンド以外にも有名なバンドが数多く載っており、またインタビューも豊富です。

そして『世界過激音楽』の第七弾となる『デプレッシヴ・スイサイダル・ブラックメタル・ガイドブック』は著者がミュージシャン、それも現役で名門レーベルに所属しているという点で初の試みです。

長谷部さん自身のDSBMプロジェクト、No Point in Livingで、本書執筆中にも大量のフルレンス作品を海外レーベルからリリースしており、目下、日本だけでなく全世界のDSBMシーンでも注目されている期待のミュージシャンです。そんなミュージシャン著者が、DSBMの作曲方法や演奏法、録音法、そしてレーベルとの付き合いなどについて、詳しく解説しました。巻末にはDSBMの楽譜まで載っています。

今現在、印刷に回っており、無事うまく進めば、7月9日頃には発売されます。

ページ数が多く、かなり凝った作りで、充実した内容でありながら、2400円というお値頃価格。是非、DSBMファンだけでなくブラックメタルファン、メタルマニアの皆さんに手に取ってもらいたいです。