先日の『第二帝国』の上巻の紹介に引き続き、下巻を紹介します。帯を取ったところはこの様な感じ。

こちらにも『帝国趣味インターナショナル』のロゴがしっかり刻印。

見返しや本扉もクール。

下巻の副題が「科学・技術・軍事・象徴 」という事もあって、科学技術大国としての第二帝国から紹介。

カイザー・ヴィルヘルム学術振興協会の開会式行くカイザー。

第一次大戦後、フランスとベルギーに占領される事となるルール工業地帯。

第二帝政時代の鉄道車両の豊富な写真を掲載。

鉄道や駅の建設によって都市景観が変わっていく。

ドイツ全土が鉄道網で繋がり、時刻が共通化される。ベルリンの市街地が広がり、海底ケーブルも世界に繋がる。

ベンツもこの頃誕生。

今、藤原辰史さんの『トラクターの世界史』が話題ですが、この頃にドイツでもトラクターが発達。

ツェッペリン飛行船。

写真技術が登場し、コスプレが流行る。

ツァイスのレンズ。

後半は軍事関連がテーマですが、ピッケルハウベとシュタールヘルムというヘルメット。

ピッケルハウベを被ったビスマルクとエンブレム。

カイザーは英仏に較べて遅れを取った植民地獲得競争に参加。大艦巨砲は使いみちがなく、財政を悪化。

戦車のプロトタイプ的なものも第一次大戦時に登場。

第二次大戦時にはUボートが暗躍するが、潜水艦も第一次大戦で想像以上に活躍し、有用性が確認された。

戦闘機も第一次大戦で投入された。

毒ガスとガスマスク

第二帝国を主導したプロイセンはその後、第二次大戦後にアメリカ軍に軍国主義国のレッテルを貼られたが、バイエルンのノイシュヴァンシュタイン城は古き良きドイツとして、アメリカ兵から人気。

結局のところ、ドイツ帝国というのはナポレオン戦争、そしてフランスという存在がいなければ、なりなかったという話。

実はフランス側に立っていたバイエルンやザクセンの立場を忘れさせ、ドイツ統一の象徴として建立した諸国民戦争記念碑。

フランスなどロマンス派の民族はルーツをローマ帝国に定められるが、必ずしもそういう訳にはいかないゲルマン民族は、古代ギリシャを模倣・再現することに。

鉤十字はナチス特有のものと思われがちだが、世界各地に見られ、ハーケンクロイツはアーリア民族のシンボルとして第二帝政時代に現れる。

下巻からはドイツ語学者の小野寺賢一さんも登場。三人全員研究者という事もあり、非常に充実した参考文献や注が巻末に記載されています。

これだけ豊富で盛り沢山の内容。第二帝政期のドイツを知るにはこの上ない資料です。

上巻と共に是非、お買い求め下さい。先週の10月5日辺りから書店でも販売開始しています。