伸井太一編著による『第二帝国』が完成しました。上下2巻本です。

まずは上巻の「政治・衣食住・日常・余暇」の方を紹介します。

帯を取ったところはこんな感じです。第二帝政ドイツを強国に育て上げたビスマルクがカバーに載っています。

よく見るとビスマルクのロゴが。『帝国趣味インターナショナル』シリーズの始まりで、英語名は「Imperest」(Imperialism+Interest)の造語です。

本扉は共通したデザイン。シリーズ通じて第二帝国の旗をイメージしたものです。

まずは第二帝政ドイツがどういうものかの解説。旗や紋章なども解説しています。

諸邦に別れていたドイツを統一したのはプロイセン。まずはその解説。

第二帝政の大宰相ビスマルク。下巻のカバーにも載っている人物。

第二帝政ドイツを崩壊させたヴィルヘルム二世。

ここからが本編と言ってもいい内容ですが、マーガリンの解説。

この『第二帝国』の編著者である伸井太一さんは『ニセドイツ』という東ドイツの製品を辿る本を過去に出版されていますが、それの関連シリーズとも言えます。

バームクーヘンが日本でドイツ菓子屋を営んだユーハイムのおかげで日本人にとってはお馴染みだが、ドイツではほとんど知られていないという話。

ビール大国ドイツの由来。

ドイツの人々を飢饉から救ったジャガイモ。そして国民食に。

工業技術の発達により、瓶詰めが可能となり、食料保存食が広まる。

東ドイツではヌーディズム運動が盛んでしたが、その源流はドイツ帝政時代にあるという話。これが人種主義にも結びつく要素があり、一筋縄ではいきません。

一方で女性の間でブラジャーが広まったのもこの頃。諸説あるみたいですが、ザクセン人はブラジャーを発明したのはザクセン人だと信じている様です。

避妊具が高級品として密かに用いられていたという話。

熊はドイツでは絶滅していた為、可愛らしいものとして認識され、テディベアが作られるに至ったという話です。

第二帝国の都として開発されたベルリンの発展ぶり。

第二帝政期に鉄道が広まり、皇帝ヴィルヘルムが好んで地方に旅行に行きました。

この頃、ワンダーフォーゲルも登場したのですが、後のヒトラーユーゲントの源流といえる側面もあります。

一般市民の間でも温泉や海水浴といったドイツ式リゾートが広まりました。

後発帝国主義国として、英仏に遅れを取って植民地を獲得しに行ったドイツですが、未開拓の場所は僻地しか残っていませんでした。

三国干渉の結果、膠州湾を租借するに至り、青島を開発したドイツ帝国。

お雇い外国人として開国後の日本には多くのドイツ人建築家が招聘されましたが、洋風建築を求める日本に対して、過度にオリエンタリズム志向だった彼らは疎まれてしまったという話。

上巻の最後の方では「第三帝国」時代に世界に惨禍をもたらしたヒトラーの第二帝政時代のエピソードを設けています。

執筆陣の伸井太一さんは大学の教員でもあり、同じくかなりの部分を執筆していただいている齋藤正樹さんもドイツ第二帝政期の研究者。

したがって準学術書的な内容にもなっており、参考文献はかなり充実しています。

以上、ざっと駆け足で『第二帝国 上巻』を写真で紹介しました。

正式な発売日は本日10月6日で、早速書店では販売開始されています。

是非お買い求め下さい。

下巻は後日紹介する予定です。