平井ナタリア恵美(パウラ)さんによる『ヒップホップ東欧』を写真で紹介します。

非英語圏ラップをテーマにした『ヒップホップグローバル』の第二弾で昨年の12月に完成しました。

扱っている国はポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーのヴィシェグラード四カ国です。

まずは域内最大のヒップホップ大国ポーランド。

トップバッターはポーランドでも最も人気で、パウラさんがお気に入りのO.S.T.R.。

次は編集者お気に入りのDonGuralesko。オリエンタルなビートが特徴ですが、本書刊行後、なんと本人がFacebookで本書を宣伝してくれました。

ポーランドは世界トップクラスのフォークメタル産出国ですが、そんなフォークメタルとラップを融合させたDonatan。

他の国に比べて人口も多く、シーンの層も厚いです。左は犯罪歴多数のChadaで右が法律事務所勤務の女性ラッパーWdowa。

ポーランドではアルバニアが「社会主義の最もダメな部分」を象徴するらしく、Gang Albaniというおふざけラップが。

右は編集者が10年前から気に入っているLukasyno。

ヒップホップは団地との結びつきが強いですが、それをテーマにした映画も撮影されました。

チェコは他の三カ国に比べてヒップホップシーンが貧弱。その中で比較的活躍しているギリシャ系のEktor。

世界的にトラップが大流行。チェコでいち早くトラップを取り入れたHugo Toxxxへのインタビュー。

ラップの歌詞に拘る人も多いので、どういった事を歌っているかの解説。

ヨーロッパの真ん中に位置すると言えるチェコでは、ヨーロッパ最大のヒップホップフェスが開催されています。

目立つラッパーの数は少ないですが、チェコのDJ Wichは欧米の有名ラッパーにもトラックを提供する名作曲家として有名。

東欧はスラヴ系以外にロマが多いですが、被抑圧層としてラッパーになる人が多いです。左はRefewで右がDe La Negra。

ギャグスタ系も活躍中。現地では白眼視するも多いFuerza Armaと、実はサイエントロジストのRevolta。

本書のカバーを飾り、自ら「ヨーロッパNo.1のラッパー」と豪語するスロヴァキアのRytmus。

彼もロマの血が入っていますが、貫禄たっぷりで王者のオーラが漂っています。

スロヴァキアではRytmusと並ぶほどのカリスマ、Majk Spirit。

スロヴァキアからもアメリカのSoula Boyなどに楽曲を提供するH16。

編集者が密かにポーランドよりも面白いのではないかと思っているハンガリー語のラップ。

特に見開き扱い、インタビューができなかった事が悔やまれるDayのハンガリー語のフロウが秀逸です。

ドラゴンボールや日本のサタニックメタルSabbatまで愛するKillakikitt。本人たちも本書で取り上げられた事を喜んでくれて、SNSで宣伝しまくってくれました。

日本人には馴染みのない西スラヴ諸語やマジャール語。ラップを聴いている上で気になる発音などの解説。

プロデューサー紹介。

レーベル紹介。

末尾では出版時点で日本ではほとんど存在しないと見られる、東欧のヒップホップ愛好家の二人である著者のパウラさんと編集者のハマザキカクによる熱い対談が。

各々がどうやってこれらの国のヒップホップと出会ったのか、何がオススメなのかを詳しく語り合ってます。

最後にパウラさんが運営している、ポーランド音楽を日本語で紹介する『Muzyka Polska』の紹介記事。

さてざっと『ヒップホップ東欧』を紹介しました。

まだほとんど日本では知られていない国々のヒップホップシーンなのに、280ページものページ数で詳述しています。

それにも関わらず2300円とお買い得。

英語や日本語のラップだけではないのです。

むしろハンガリー語のフロウは世界一と言いたいほど。

全く知られていない東欧のヒップホップを是非、本書を見ながら聴いてみて下さい。