突然ですが『ブレイクコア・ガイドブック』を出します。上下2巻同時発売で、著者はブレイクコア・レーベルMurder Channelを運営されている梅ヶ谷雄太さんです。

ブレイクコアはテクノのサブジャンルの一つで、最も自由で過激で複雑とされています。

メタルやレゲエ、ヒップホップ、クラシックなどありとあらゆるジャンルを飲み込み
映画のセリフやゲーム音もサンプリング、アーメンブレイクやガバキックを高速ビートで再構築

当初、1冊のつもりで制作していたのですが、サブジャンルの中に更にサブジャンルが沢山あり、1冊では収まらない規模の広がりを見せている事が分かりました。またカラフルなアートワークのジャケットが多い為、オールカラーでやる必要を感じました。

その為、2冊に別け、上巻を第一世代達を扱った「オールドスクール・ハードコア・インダストリアル・メタル」、下巻を2000年代中盤の多様化を見せたブレイクコア黄金期から現在の最新事情までを扱った「ラガコア・ブレイクビーツ・マッシュコア・カットアップ・ジャズ・IDM・エクスペリメンタル・ レイブコア・アシッド」にしています。

2冊合計で60万字近くあるので、下手すると3冊にしても良かったぐらいのボリュームです。

扱うアーティストは上巻で;

■Venetian Snares レゲエ、ジャズ、クラシックをも包摂するブレイクコアの第一人者
■Rotator ブレイクコア代表するPeace Off主宰するシーン総支配人
■Christoph Fringeli 総本山的レーベルPraxisを創業したブレイクコアの守護神
■Drumcorps 楽器を同時生演奏のパフォーマンスでワールドワイドな人気
■DJ Scud 強烈なアティテュードでブレイクコアの原型を作り上げた先覚者
■Igorrr デスメタルやバロック、オペラをも融合させるフランスの鬼才
■Bong-Ra デスメタルから乱入し、撹乱して立ち去っていったデストロイヤー
■他Doormouse、Dev/Null、Droon、Baseck、Ladyscraper、DJ Skull Vomit、SA†AN等

下巻では;
■Xanopticon 超細密プログラミング近未来的電子音ブレイクコアで騒然
■Jason Forrest 懐かしディスコやカントリー歌手も動員して踊りまくる人気者
■Ruby My Dear カオティックでプログレッシブなビートに美メロを載せる音の芸
■Gore Tech サイバーパンク&メタルな世界観でWarStepを提唱する第3世代
■FFF 膨大なコレクションから的確なサンプリングで同業者からも信頼
■Electromeca 野太いベースにサイケ感でビートジャンキーから熱烈な支持
■UndaCova 超複雑グリッチ・ビートに高速展開するフラッシュコアの真髄
■他Cardopusher、Deformer、Shitmat、Drop the Lime、Sickboy、OVe-NaXx等多数

また上下巻ともに、ブレイクコアにまつわる多角的なコラムや分析記事も設けています。
「ブレイクコア用語解説」
「ブレイクコア・レーベル紹介」
「ブレイクコアの起源とムーブメントまで」
「メタルとブレイクコアの邂逅Metal Breakcore」
「Murder Channel ライブの記録集」
「Should we stick to Breakcore? by Miii」
「ブレイクコア・アーティストによる別名期活動」
「ブレイクコア・アーティストによるオフィシャル・リミック」等

そしてこんな大著になってしまったもう一つの原因が、インタビューが大量に集まってしまったからです。以下が、インタビューに回答してくれたアーティスト達です。

DJ Scud
Christoph Fringeli
Rotator
Baseck
Droon
Passenger of Shit
L?K?O
Bong-Ra
Drumcorps
Dev/Null
DJ Skull Vomit
Ladyscraper
FFF
Gore Tech
Munchi
Stazma the Junglechrist
Drop the Lime
Jason Forrest
Knifehandchop
Sickboy
OVe-NaXx
Ruby My Dear
UndaCova
Xanopticon
Twenty Knives
KA4U

分かる人が見れば分かりますが、そうそうたるメンツで長年ブレイクコアシーンで、信頼を勝ち得てきたMurder Channelが著者だからこそ答えてくれたと言えます。特に普段滅多にインタビューに応じない人たちが応じてくれました。ブレイクコアがこうして書籍としてまとめられるのは、日本は当然世界でも初めてのようです。前代未聞の音楽資料になるはずです。

上下巻両方共A5判並製200ページ、オールカラーで3月10日頃までには店頭に並ぶ予定です。是非お買い求め下さい。