ブレイクコアの名門レーベルMurder Channelを主催されている梅ヶ谷雄太さんによる『ブレイクコア・ガイドブック』上下2巻が完成しました。

両方共オールカラー200ページで、合計文字数が60万字を越えています。

まずは上巻の「オールドスクール・ハードコア・インダストリアル・メタル」を写真を用いて紹介します。

ブレイクコアに親しみがない読者のための「用語解説」

「ブレイクコアのルーツ」コラム。ハードコア・テクノやインダストリアルなど色々あります。

ブレイクコアの原型を作り上げたとされるDJ Scud。なんとそんな偉大な人物のインタビューも。

総本山的レーベルPraxisを創業したChristoph Fringeli。この最初の2人で既にこの本のインパクトたるや凄まじいものがありますね。

ブレイクコアのレーベル解説コラム。

ブレイクコアの代名詞的な存在Peace OFFとRotator。その影響力は絶大。そしてそんな彼にもインタビュー。

ブレイクコアシーンの超一流重要人物が軒並みインタビューに応じているのは、Murder Channelの梅ヶ谷さんがそのシーンで重要人物だからこそ。

無視できないし、むしろみんな喜んで応じてくれたようです。

オーストラリアのPassenger of Shit。彼もインタビューに応じてくれています。

そしてどれだけの人が気が付いたか分かりませんが、この写真で着ているのがCephalotripsyのPromo 2011。

「よく知ってるね」と驚かざるを得ませんでした。デスメタルの中でも通向けのスラミング・ブルータル・デスメタルです。

「メタルとブレイクコア邂逅Metal Breakcore」コラム。

ブレイクコア・アーティストのかなりの部分が、元デスメタラー(英語ではDeath Metal Head)と言えるかもしれません。

メタルに飽きて、電子音楽に目覚める人たちが少なからずいます。

特にメタルを振り返る事もなく、人の繋がりが切れている事もある為、デスメタル、ましてや一般メタル側からは「ブレイクコア」の存在感は薄く、あまり話題になる事もなく、そもそもジャンルとして知らない人も多いようです。

薄々ブレイクコアが気になるけど、どこから聴いて良いのかよく分からないメタルの人たちには是非『ブレイクコア・ガイドブック』を手にとってもらいたいですね。

元々BluuurghというデスメタルをやっていたオランダのBong-ra。これ以外にもブラックメタルのServants of the Apocalyptic Goat Raveをやっています。

インタビューに応じてくれています。

個人的にも元々かなりお気に入りだったDev/Null。彼がやっていたデスメタルFate of Icarusはそこまで印象になかったですが、Dev/Nullになってから大化け。

彼もインタビューに応じてます。

DJ Skull Vomit。最もうまい形でデスメタル、グラインドコアとブレイクコアを融合させています。彼もインタビューあり。元Eustachain。

Ladyscraper。彼もインタビューに応じているのですが、本書でも特にお気に入りのミュージシャン。大迫力。

以上は有名所で知っている人は知っているかもしれませんが、各章の末尾には音源だけのレビューもあります。

特に個人的に猛プッシュしたいのがチュニジア(しかも首都ではなくビゼルタ)出身でハンブルクで活動しているUlcerium。

元々彼のことをVomit the Hateというブルータルデスメタルバンドで認識はしていましたが、いつの間にかUlceriumというブレイクコアをやっていました。

Vomit the Hate自体、最新作Land of the Damnedではブルータル・デスメタルにテクニカル・プログレッシヴをブレンドインさせており、まさに世界最先端の潮流をよく把握しています。

そんな彼のUlceriumは超絶ハイクォリティ。是非聴いてみて欲しいです。

上巻の最後はMurder Channelが主催してきたライブの記録です。

という訳でかなりデスメタル寄りの解説になってしまいましたが、上巻は「オールドスクール・ハードコア・インダストリアル・メタル」に関連するブレイクコア、特に初期のアーティストに焦点を当てています。

これだけ多くのシーンの第一人者が揃ってインタビューに応じている訳です。

ブレイクコアの根強いファンも、そして今までブレイクコアに興味がなかった人も、相当参考になるはず。

是非買ってみてください。

後日、下巻も詳しく紹介します。上巻に魅力的なアーティストが多い様に見えてしまいますが、下巻にはあのXanopticonが……。