岩田宇伯さんによる『中国テレビ番組ガイド』が出来上がったので、中身を紹介します。

帯を取り外した状態です。

岩田さんは2018年に弊社から『中国抗日ドラマ読本』を出版されています。この本は中国で大問題になりました。

2021年12月には弊社から関上武司さんによる『中国抗日博物館大図鑑』が出版されました。その中で岩田さんも抗日に関するコラムを寄稿されています。

凡例や中国のテレビネットワークの仕組みを解説。

そもそも中国のテレビに馴染みのない読者に対して、視聴法を解説しています。

さてここからは本編の解説です。まずは習近平主席を盛り上げる中国特色社会主義超カルトクイズ 『新時代学習大会』です。

さすがは建前上は共産主義を護持した国。回答者にはマルクス主義の研究者達も。

ニュース・学習コーナー・優秀党員取材等ズバリ党員向け番組の、その名も『共産党員』。

さすが文化大革命をやっただけの国。捜査逮捕吊し上げ 、習近平政権反腐敗運動の集大成ドキュメンタリー『巡視利剣』。

元天津市長もTシャツ姿で悔悟の言葉を吐露。

コロナウィルスが発生した国なのに、コロナ封じ込めを自画自賛!

まるで戦記物の様に煽る中国コロナ禍勝利宣伝ドキュメンタリー『同心戦疫』。

左は米中経済戦争が悪化してから、急遽、『記憶的力量・抗美援朝』という朝鮮戦争ドキュメンタリーを速攻で放送。

過去の色んなドラマや映画のシーンのカットアンドペーストで成り立っており、番組表にすら載っていない状態に。

右は社会主義核心価値観アニメ『夢娃』。

中国では犯罪ドラマはご法度らしいのですが、これは法律の再現ドラマと見せかけて、実態は昼メロに近い『道徳与法治』。

意味もなく入浴シーンが!

こちらも道徳番組と見せかけて、毎回エッチなシーンが登場する『夜傾情』。せいぜい下着レベルの露出度ですが。

第1章はこんな感じです。章末にはいつもコラムを入れていますが、こちらは「硬軟取り混ぜた巧妙共産公共CM」

中国との統一を早期実現するという党是の「台湾新党」の侯漢廷という、台湾検察局に「国家安全法」違反を根拠に起訴されたというワケアリ人物に好き勝手に喋らせる『宝島、報到!』。

チワン語ニュース番組『壮語新聞』とロシア語番組『你好、俄羅斯』。

本書の中でも強烈な異彩を放つ犯罪者インタビュー番組『獄中面対面』。犯人の年老いた両親にコメントを求めたり、殺された被害者の家族を矢面に立たせたり。

本書では無限にある中国のテレビ番組でも、日本人から見ても強烈な番組をピックアップしていますが、政治色が強いものだけでなく、番組として良質なものも複数紹介しています。

これは中国全省空撮紀行番組『航拍中国』。

北京オリンピック開催直前に話題になった春節の大みそか番組『春節聯歓晩会』。なんと視聴者が11億人いるそうです。

左は習近平の長時間の談話がある大晦日番組『年輪20**』。

右は南京事件『南京大屠殺死難者国家公祭日特別報道』。エンタメ自粛、ネットはモノクロ化のこの日、南京より追悼式生中継。

さてこのコラムでは中華人民共和国と敵対する台湾の放送局を紹介。

解放軍現役兵士による謎バトル、PKO・軍医・軍犬・気象班もエントリー 。人民解放軍リアリティ番組『誰是終極英雄』。

中国版風雲たけし城とSASUKEが合体したような『男生女生向前冲』。びしょ濡れになった女子選手のきわどい姿で男性視聴者サービス。

ビフォーアフター番組『夢想改造家』。

朝日放送テレビの視聴者センターに問い合わせてみても、パクリなのかライセンスを受けてのものなのかが不明でした。

韓国人気番組『非首脳会談』ライセンス、在中外国人がカルチャーギャップをトークする『世界青年説』。

中国で活躍する日本人俳優黒木真二が「実習生」として出演。

ド田舎農村が舞台、他局とは逆張りしたイモっぽいお見合い番組『郷約』。

誰もが顔見知りの狭いローカルエリアが会場のため仕込みは困難。

出演者も男女とも田舎臭い若者ですが、まれに場違いかと思われる美女が登場。

冴えないオッサンオバハンが主役の中高年専門お見合い番組『門当戸対』。

解放軍専属歌手から素人兵士出演、ヒップホップ・アイドルの珍軍歌もある大型軍歌番組『軍営大舞台』。

世界各国にライセンスされているので、このロゴに見覚えがある人も多いのではないでしょうか?

老舗オーディション番組『中国好声音』。

近年急成長を遂げる中国ヒップホップ。こちらはヒップホップオーディション『中国新説唱』。

しかし……優勝者存在抹消、主要審査員突然失脚など、当局から弾圧されまくり。

どんなにイキっていても、中国ならではの事情が反映(笑)

奥地ローカルバンドや少数民族語ロック・伝統音楽バンドまで発掘するインディーズバンド紹介番組『中国楽隊』。

なお弊社刊行田辺寛著『デスメタルチャイナ』でも岩田さんが寄稿文を寄せています。

中国のメタル、ロックに興味がある方にお勧めです。

右は日本でも視聴者が多いアイドル養成超人気番組『創造営』。日本人練習生多数出演し、K-Pop ファン・韓流ファンにも波及。

大物投資家のケタ違いのマネーが飛び交う中国版『¥ マネーの虎』の『創業英雄匯』。

ただしネットでヤラセ疑惑がささやかれている様です。

ざっと駆け足で『中国テレビ番組ガイド』の中身を紹介していきました。

ここで紹介できたのはごくごく一部です。まだ他にも沢山、ヘンテコなテレビ番組が沢山載っています。

北京オリンピックもたけなわですが、中国やテレビ番組に興味がある人は是非買ってみて下さい。

冒頭で述べましたが岩田さんは中国でニュース報道までされてしまった『中国抗日ドラマ読本』を出版しています。

また関連するテーマで『中国抗日博物館大図鑑』が出たばかりです。抗日と言えばもはやこの2冊でしょう。

ちなみに2月20日(日)には阿佐ヶ谷ロフトで『中国抗日博物館大図鑑』出版記念、「東アジア抗日フェスティバル(抗フェス)」を開催する予定です。

著者の関上武司さんだけでなく、弊社から『韓国いんちきマンガ読本』を出版された大江・留・丈二さんも出演。

司会は香港漫画店の松田さんです。

それから未だにコロナが終わっていませんが、もはや一昨年となってしまった2020年の10月には岩田さんは『コロナマニア 「ウイルス以外のコロナ」一大コレクション』を出版されています。

そうです、あれです。ファンヒーターやビール、車等の「元々コロナ」を集めた本です。こちらもまだの方はよろしくお願いします。