先日の『東欧ブラックメタルガイドブック』に引き続き、『ヒップホップ東欧』を出版します!

著者は平井ナタリア恵美a.k.a.パウラさんで副題は『西スラヴ語&マジャル語読本』です。

クラシック・ジャズ・メタル等世界有数音楽大国で全てにおいてハイクォリティのポーランド
アニメと同様スマートでオシャレかつ芸術性が高くグラフィティも人気のチェコ
ド迫力のギャングスタやハードコアラップがシーンを独占するスロヴァキア
周囲の言語とは体系が異なり、宇宙人語にすら聴こえてくるハンガリー

元々東欧は音楽が盛んな事で知られていますが、90年代に共産主義体制が崩壊してから、一気に色々な音楽が全面開花しました。

デスメタルやブラックメタルでは世界のシーンのトップクラスのバンドを輩出してきていますが、あくまでもマイノリティ音楽。

一方、ヒップホップはそれぞれの国のヒットチャートの上位を独占するほどに至っています。

■フリースタイル王者の呼び声高いジャジー・ヒップホップの天才ラッパー&プロデューサーO.S.T.R.
■中東風ビートにダーティーサウスなトラック、ダミ声ラップを繰り出すポズナンのドンdonGURALesko
■フォークメタルPercivalと合作でスラヴ民謡ヒップホップを作り、カトリックから敵視されるDonatan
■Snowgoonsがプロデュースし、日本のサタニックメタルSabbatを聴き好むブダペストのKillakikitt
■ジプシーをルーツに持ち、「欧州一のラッパー」自称するスロヴァキアのヒップホップ界キングRytmus
■Soulja Boy やChief Keef らトップクラスUS ラッパーもプロデュースするスロヴァキアのH16のAbe
■バイオリンやアコーディオンを奏で、全員ロマながらチェコ代表選出ジプシー・ヒップホップ Gipsy.cz
■Lil Wayne、Talib Kweliらとも共演済み!チェコ・ヒップホップの立役者プロデューサーDJ Wich
■チェコで開催され、USラッパーも出演するヨーロッパ最大のヒップホップフェスティバル Hip Hop Kemp
■ソ連サーカスのブレイクダンス練習ビデオや冷戦崩壊直後『Yo! MTV Raps!』を見て育ったFunktasztikus
■『キャプテン翼』『ドラゴンボール』等アニメを導入し、大森でロケまでしてしまった日本を愛するラッパー達

そんな東欧のヒップホップ事情を、自らもポーランドとのミックスであられる平井ナタリア恵美a.k.a.パウラさんが丁寧に解説します。

パウラさんは @dancerCHLOE ‏ のTwitterアカウントで、ムジカ・ポルスカ@ポーランド音楽 を運営され、長年ポーランドの音楽情報を配信されています。

東京外国語大学で『ポーランドにおけるヒップホップカルチャー』という卒論を提出された程の専門家です。

ポーランド音楽のイベントで度々出演する美人DJとしても知られています。

共産主義のゲットーから這い上がってきたラッパー達が群雄割拠!!
スラヴの金属質な子音とメランコリー!!
ハンガリー語の滑らかなフロウの酩酊感!!
「ポーランドのヒップホップ」が東京外国語大学卒論のポーランドと日本のミックスが徹底調査!!

編集者の私事になりますが、自分自身がポーランドのヒップホップの魅力に気が付いたのが2005年ごろ。
そしてこの企画を始めてから今度はハンガリーのヒップホップにドップリはまってしまい、2017年に最も聴いた音楽になりました。
単純比較はできないかもしれませんが、実はハンガリー語のラップのフロウは世界一なのではないかと思います。
周囲の言語体系とは全く異なり、アクセントが必ず第一音節に来る事で、つんのめる様なヘンなリズム感を醸し出していて、聴いていて次第に変な気分になってきます。

メタルと異なり、ヒップホップは言語に縛られ、ローカル・ドメスティックに留まりがちですが、全く響きに馴染みがない言葉だからこそ面白く聴こえるという事も十分ありえるのです。ドイツやロシア、フランス、モンゴル、中国、そして韓国など色々な言語のヒップホップを聴いてきましたが、個人的には「フロウ」という点では、ハンガリーが今現在世界一なのではないかと思っているぐらいなのです。

この『ヒップホップ東欧』は『ヒップホップグローバル』の第二弾で、第一弾は鳥居咲子さんによる『ヒップホップコリア』でした。

『東欧ブラックメタルガイドブック』と全く同じタイミングの出版なので、12月10日前後に発売予定です。A5判並製280ページ、2200円。

相当前代未聞のテーマの音楽本ですが、ぜひぜひ手にとって見て色々と聴いてみて頂ければ幸いです!

なお『ヒップホップ東欧』の出版を機に開設された「東欧ヒップホップ Facebook ページ」やTwitter「ヒップホップ東欧」(@hiphop_EE) で東欧のヒップホップのおすすめの曲や新曲を紹介していく予定です。