稲田義智さんによる『絶対に解けない受験世界史2』が完成しました! 写真で現物を紹介します。

副題は「悪問・難問・奇問・出題ミス集」で、2014年に出たもののの3年ぶりの続編です。

この間、一部の大学における入試問題で、出題ミスや悪問が大幅に激減したそうです。

『絶対に解けない受験世界史』の影響によるものかどうかは、正確には分かりませんが、もしそうであれば大変喜ばしいことですね。

実際に入試関係者や予備校の講師の間では、大変話題になった事もあり、その可能性は否定できません。

それでは本書の中から特に印象深かったものを幾つか紹介しましょう。これは指定文字数が35字なのに、既に3つの指定語句16字も規定されているという、もはや国語の様な問題。

アップル、フェイスブック、マイクロソフト、グーグルのうち、本社がカリフォルニアではない企業を選ぶもの。これも世界史の問題なのでしょうか?

前著でも有りましたが、ここ近年の世界史の用語の変遷を紹介したコラムです。

地図をよく見ると、ペロポネソス半島が「島」になっている地図。もし実際そうであったら、その後の歴史も大きく変わっていたでしょう。

イギリスの地方都市を当てさせる問題。イギリス在住5年の私でも細かすぎて分からなかった都市が多数。

「「高校世界史」の歴史」というコラムも。歴史自体が時代の状況によって進化していくものなのです。

セゴビアの水道橋と見せかけて熊本県の通潤橋が出て来るという珍問も。

知ってる日本人数人レベルの検索結果11件のみの用語を問う、悪質な問題。

他の科目に比べても、なぜ世界史でここまで出題ミスや悪問が発生してしまうのかという分析。

やはり入試問題で、悪問や出題ミスは許されないという総括。受かる大学により、その後の交友関係や生涯年収が決まり、人生を大きく左右する入試問題。

できるだけ公平であるべきで、受験生の努力が報われるべきです。それにも関わらず、本シリーズが始まるまで、入試問題、特に受験世界史では、出題ミスや悪問の類が出されても誰も、それを指摘することなく、自浄作用が働くこともなく、黙認されてきました。受験生も毎年新しくなるので、結局うやむやになってしまっていったのです。

まえがきには「いつかこのシリーズを出さなくても済むようになるほど,大学入試から出題ミスや悪問が少なくなれば幸いである」とあります。

しかし人間の事なので、間違いを犯さなくなる事はないでしょう。

ただ本のシリーズになってしまう程の量にはならないぐらいに減らすことは可能かもしれません。

矛盾してしまいますが、『絶対に解けない受験世界史』シリーズが出版不可能になるのが本来、受験世界史のあるべき姿。

このシリーズが受験世界史の監視役として、出題ミスや悪問が出ないように見張り続けます。

ゲーテ(2014~2017)
「教科書の誤謬や入試問題の出題ミスについて,積極的に声をあげていくべきだ。そうすることで問題が社会に共有され,教科書も書き変わりやすくなり,悪問や出題ミスの問題性が認識されれば入試からも危うい出題が減る。」

というのはギャグですよ。前回も真に受けた人がいたので……。

さてこの『絶対に解けない受験世界史2』、8月10日頃までには書店に並び始める予定です。是非是非お買い求め下さい。