ドイツ植民地研究

後発帝国主義研究第一巻
西南アフリカ・トーゴ・カメルーン・東アフリカ・太平洋・膠州湾

栗原久定
ISBN 978-4-908468-24-7
C0022 A5判 480頁
価格 3,900円+税
書店発売日 2018年5月10日

 

 


紹介

後発帝国主義国として最大の領土を得つつも、第一次大戦で消滅
ナチスの生存圏やジェノサイドにも影響を及ぼしたとされる、
忘れ去られた幻の領土の謎に迫る。

■西南アフリカ 「生存圏構想」の端緒となり、ナチ党ジェノサイドの起源とも言われる
■トーゴ キリスト教ミッションと協力し、補助金なしでもやっていけた「模範的植民地」
■カメルーン アフリカの縮図であり、大幅に領土拡大し「中央アフリカ」構想に繋がる
■東アフリカ キリマンジャロを有し、農業・交通の面で大規模なインフラ開発が行われた
■太平洋 首長を介し間接的に統治し、第一次大戦後に日本が「委任統治領」として後を引き継ぐ
■膠州湾 植民地化は出来ずに「租借地」として海軍省が管轄した中国市場の経済拠点
●「社会主義者と植民地」「中央アフリカ計画」「日本統治下の太平洋植民地」等のコラムも
●常夏ビーチやジャングルに突如現れるメルヘンチックな植民地建築など1180枚以上の写真
●地形や民族を無視した 直線過ぎる国境線など73枚もの地図

目次

まえがき 4
凡例 5

第一章 ドイツ植民地概観 9
「ドイツ植民地」とはなんだろうか? 10

第二章 西南アフリカ植民地 33
植民地化以前の西南アフリカ 35
領域画定 42
初期の植民地統治 44
分割統治・搾取の進行 53
ヘレロ・ナマの蜂起 55
植民地改革期 61
交通インフラ 64
植民地経済 72
第一次世界大戦中の西南アフリカ 80
第一次世界大戦後の西南アフリカにおけるドイツ系住民 90
結論 93
コラム1 社会主義者と植民地 101

第三章 トーゴ植民地 107
植民地化以前のトーゴ 109
領域画定 113
初期の植民地統治 118
初期の植民地経済 122
ツェヒの統治 126
経済政策 128
地域の共同体の維持 133
1910年代のトーゴ植民地 138
ドイツ帝国のインフラとしての無線 142
第一次世界大戦中のトーゴ 144
両大戦間期における「模範植民地」の神話 146
結論 147
コラム2 中央アフリカ計画 158

第四章 カメルーン植民地 167
植民地化以前のカメルーン 169
領域画定 173
カメルーン植民地における軍事遠征 177
プットカマーの統治 187
特許会社 190
プランテーションでの生産物 192
植民地改革期 199
第一次世界大戦中のカメルーン 210
委任統治期のカメルーン 212
結論 214
コラム3 熱帯植物栽培 228

第五章 東アフリカ植民地 239
植民地化以前の東アフリカ 241
領域画定 249
住民の抵抗運動に対する軍事的鎮圧 253
初期の植民地統治 263
間接統治地区 269
植民地改革期 271
第一次世界大戦中の東アフリカ 291
結論 298
コラム4 ドイツ植民地における医療と支配の正当化 307

第六章 太平洋植民地 311
植民地化以前の太平洋 314
領域画定 317
メラネシアにおける統治 326
ミクロネシアにおける統治 334
ポリネシアにおける統治 343
第一次世界大戦勃発と植民地喪失、そして返還運動 348
結論 352
コラム5 日本統治下の太平洋植民地 363

第七章 膠州湾植民地 369
租借以前の山東半島 372
領域画定 373
初期の租借地統治 379
義和団戦争とその鎮圧後の租借地統治 388
青島経済 393
輸出品 394
中国人商人の政治参加 400
1910年代の租借地経済 403 
対中国貿易促進のための文化政策 406
第一次世界大戦中の青島 412
結論 415

総論 425
植民地におけるドイツ系住民 425
本国と植民地との関係 427
現地の住民への影響 428

あとがき 432
参考文献 434
年表 461
地図 464
索引 474

前書きなど

ドイツ植民地とは、ドイツ帝国(1871~1918)の時代に約30年存在したアフリカ・太平洋・中国にまたがる植民地である。多くが熱帯地域に位置しており、面積は当時の植民地帝国の中では英仏に続く3番目で、人口も英仏蘭日に続く5番目という規模であった。しかしドイツからの入植者は少なく、当初は政治的・経済的には周辺的な地位にあった。統治後半にはドイツの国政を左右する存在となったが、第一次世界大戦における敗北によって消滅した。
本書では植民地の統治機関とその政策を扱っている。公的には外務省、後にそこから独立する植民地省と現地に設置された総督府が統治の中心となった。民間では商社・キリスト教団体・植民地団体がおり、彼らは相互に協力・対立しつつ、その統治の性格を規定した。入植者が増え始めると、彼らも統治機関への参加を求めていく。
植民地統治前半は、沿岸部の土地や徴税権といった各種権限を奪いつつ、内地に向かって、軍事遠征を繰り返し、領土を画定していった。次第に植民地経済も発展し、熱帯気候を活かしたプランテーション経営も行われたが、負担を強いられた住民は激しく抵抗した。植民地当局は、ドイツから派遣された軍隊の助けも借りつつ、過酷な鎮圧を行った。その後、これらの戦争の影響を踏まえ、植民地省が設置され、植民地改革が進められた。植民地経営に精通した官僚を養成しつつ、統治機構を整え、効率的な搾取に乗り出すことになった。
統治においては多様な手段が用いられた。例えば軍事力の増強、現地の有力者を介した間接統治、教育機関による統治協力者の育成、植民地法の整備、他の帝国主義国家との連携といった手段がある。
この植民地の時代を通して、民族問題の創出、恣意的な国境線の画定、世界経済と結びついた植民地経済の成立といった変化が起こり、現代に至るまで影響を与えている。
ドイツ植民地は日本では馴染みが薄く、中学・高校の時期に歴史の授業で学んだ後は、触れる機会もないかもしれない。しかしドイツ、ひいては世界に与えた衝撃は大きく、その一環を本書の豊富な画像・情報を活かして示すことができれば幸いである。
では、まずドイツ植民地の概観を見ていくことにしよう。

著者プロフィール

栗原久定(クリハラ ヒサヤス)
早稲田大学第一文学部卒。千葉大学大学院人文社会科学研究科公共研究専攻博士前期課程修了。千葉大学大学院人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程単位取得退学。「強いられる低開発への抵抗」(三宅芳夫・菊池恵介編 『近代世界システムと新自由主義グローバリズム』内)を執筆。専門はドイツとオーストリアの近現代史。特に第一次世界大戦中の同盟国の戦争目的を研究している。

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