突然ですが『共産テクノ 東欧編』を出版します! 著者は四方宏明さんで、「ソ連編」に続く第二弾です。

対象国は東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキア、ポーランドで『共産趣味インターナショナル』シリーズとしては第6巻です。

『共産テクノ ソ連編』はこちら。

ソ連の共産テクノは相当ヘンテコでしたが、東欧四カ国は元々音楽や文化のレベルが高い国々だったので、変というだけには収まりきらず、かなりレベルの高いものになっていた様です。

科学技術(ドイツ)・音楽(ポーランド)・アート(チェコスロバキア)・数学(ハンガリー)に秀でた民族達の冷戦期電子音楽を徹底調査!

しかしながらそこは共産主義体制、案の定、西側では考えられない事態にもなっていました。

パンクでも4週間働いていないと懲役刑
バンドの給料は機材の重量で計算etc

■東ドイツ国家公認の反体制スピリットを体現した「オストロック」  Puhdys、 City、 Silly、Karat
■カセットテープで地下出版せざるを得なかった「真のアンダーグラウンド」 ディー・アンデレン・バンズ
■検閲逃れの為に歌詞を拒みながらもアメリカ刑事ドラマカバーのエレクトロニック・インストルメンタル Key
■東ドイツのチャート1位になりながらも西側に亡命しスピリチャル化したパンクの女王 ニナ・ハーゲン
■メンバーの内、二人がシュタージへの情報提供者だったパンクバンド Die Firma
■米ソ進出果たしたポーランドのアイドル的エレクトロポップ Papa Dance
■ポーランド人なら恥ずかしいけど歌えてしまう田舎ディスコ Disco Polo
■空手着中華風ディスコ「ブルース・リー」でデビュー Franek Kimono
■ソ連をロボットに喩え、駐米チェコ大使が作詞したテクノポップMluví K Vám Robot
■イギリス人母を持ち、英語で歌いながらもベトナムやラオスまで遠征したスロバキアの Žbirka
■日本、そして国交がなかった韓国で人気を博したハンガリーのキャンディポップ ニュートン・ファミリー
■ハンガリー産低価格サンプラーMusix 81を開発したテクノポップ・ユニット P.R. Computer

また前回に引き続き、共産趣味スポット案内や、冷戦期に東欧だけでなく、世界のテクノに大きな影響を与えた「ニューウェイヴ、ノイエ・ドイチェ・ヴェレ」にまつわるコラムも設けています。

さて今回は対象国が4つに渡り、それぞれのテクノシーンの層も厚く、更に2冊に別けるという案もあったのですが、どうにか1冊にまとめました。しかし結果的に272ページにも上ってしまいました。そしてジャケット自体が資料的価値もある事から、かなり無理してオールカラーで印刷しています。前作の224ページで2200円と比較すれば、500円高い2700円ですが、実は1ページ辺り10円というのはほぼ変わりません。

著者の四方宏明さんは今更改めてここで紹介する必要がないほどの有名人。テクノポップの第一人者で、All Aboutのテクノポップのガイドも務められている、ちょい悪オヤジ的な雰囲気が漂うダンディズムを具現化した様な方。一見マニアックな趣味があるようには見えませんが、実は唯一無二の共産テクノ発掘家。ジャンルは違ってもその志や手法は同じです。

何より『ヒップホップ東欧』や『東欧ブラックメタルガイドブック』、そして『ニセドイツ』『共産主婦』など『共産趣味インターナショナル』の編集に携わり、音楽だけでなく、この地域に対する歴史や文化に関心が人一倍ある編集者が、熱中して取り組んだ訳で、面白くない訳がありませんね。

9月10日頃発売です。よろしくお願いします。