突然ですが『タタールスタンファンブック』を出版します!

『連邦制マニアックス』の第一弾です。タタールスタンはロシア連邦構成体の一つで、テュルク系ムスリムが多く住んでいる民族共和国です。

「ロシア人、一皮むけばタタール人」と言われる通り、タタールスタン領域以外のロシアにも多くのタタール系の人たちが住んでいます。

一般的には「ロシア人」だと思われているテニス選手の「マラト・サフィン」や歌手の「アルスー」もタタール系ですね。先祖を辿るとタタール系の名門貴族という人も多く、作家ツルゲーネフもそうです。

ロシアというとスラヴ系民族やモスクワのイメージが強いですが、ムスリムやテュルク系の民族も多く存在しており、そうした人々を知る事によって、ロシアに対する理解がいっそう深まります。

ロシア第三の都カザンに首都を置き
連邦構成主体の中で唯一、「権限分割条約」を維持し
独自の大統領まで擁する謎の民族共和国の
魅力をタタール語オリンピック優勝者達が解き明かす

中央アジアには旧ソ連の構成国だったカザフスタンやウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンなどが存在します。

タタールスタンも「スタン」が付くのでなんとなくイメージが似てますが、なぜこういった中央アジアの国々の様に独立しなかったかというと、ソ連の外側にある外国と国境を接しておらず、ソ連の中の「ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国」の中の「タタール自治ソビエト社会主義共和国」だったからです。

ただしロシア連邦の構成体の中でも今現在も「権限分割条約」を維持しており、独自の「大統領」が存在し、独立はしていませんが、一目置かれています。かなり独特な存在ですが、「国」というレイヤーには位置していないので、日本ではあまり知られていません。そんな謎と魅力がたっぷりのタタールスタンを櫻間瑛さん、中村瑞希さん、菱山湧人さんの若手タタールスタン研究者達が解説します。その内、中村さんと菱山さんはタタール語オリンピックの優勝経験があります。

●モスクと教会が並び立つ世界遺産カザン・クレムリン
●カザン建都1000 周年に完成したクル=シャリフ・モスク
●ソ連時代に閉鎖されなかった唯一のアル=マルジャーニー・モスク
●ユニバーシアード等が開催されたロシアのスポーツ首都カザン
●レーニンも通ったモスクワ大学に次いで古いカザン連邦大学
●グム・ツム・メガ、マックは当然スターバックスやKFCまで進出
●中東を始め世界の映画が集まる国際ムスリム映画祭
●ドイツ軍の捕虜となり、処刑された文学者ムーサー・ジャリル
●ソ連期に時期も形も変わった民族の祭典サバントゥイ
●アストラハン・シベリア・クリャシェン等タタール諸グループ
●北方のイスラーム聖地にしてタタール人の故地ボルガル
●タタールスタン内にいるバシキール・マリ等の諸民族
●代々木モスクを建立させたクルバンガリー等日本亡命者
●一万人もの日本軍将校が抑留されたエラブガ
●イスラムと社会主義を融合させ粛清されたスルタンガリエフ
●マラト・サフィンやアルスー等ロシア人と思われている有名タタール人
●中央アジア・新疆・フィンランド・北米・日本のタタール・ディアスポラ

等など意外と日本との結びつきもある、不思議なエピソードが満載の『タタールスタンファンブック』は四六判並製オールカラー224ページ、定価2200円+税です。

早ければ11月10日頃には書店に並び始めます。ロシア趣味者、テュルク語族愛好家、シベリア・ユーラシアマニア待望の書です。ご期待下さい!